<子どもの性教育>岩室紳也先生
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| 2007.06.15 |
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6月1日~6月7日のHIV検査普及週間に、今年も全国各地でHIV/AIDSに関するイベントが開かれました。HIV感染者、AIDS発症者は現在も増加傾向をたどり、クラミジアなどの性感染症にかかる若者も増えています。エイズや性感染症を予防するために、わたしたちは性の問題をどう捉え、子どもたちに伝えたらよいのでしょう。エイズ患者の診療にあたりながら、性教育のパイオニアとして年間100件もの講演をこなす、ヘルスプロモーション研究センター岩室紳也先生にお話を伺いました。 岩室紳也先生 社団法人地域医療振興協会 ヘルスプロモーション研究センター長 厚木市立病院泌尿器科 日本家族計画協会市ヶ谷クリニック 1981年 自治医科大学卒業 2003年 地域医療振興協会ヘルスプロモーション研究センター長 日本泌尿器科学会指導医 日本思春期学会評議員 日本性感染症学会評議員 AIDS(Acquired Immuno Deficiency Syndrome)…後天性免疫不全症候群。HIVウイルスの感染により身体の免疫が低下し、日和見感染症や悪性腫瘍など様々な疾患が発症します。 AIDS発症で多い「ニューモシスティス肺炎」。「お医者様へ。『この年齢で・・・・』という見慣れない症例があれば、ぜひ、患者さんにHIV抗体検査すすめて下さい。早期発見は患者さんの予後に大きく影響します。一般の方も、気になる症状が続いたら是非一度HIV検査を受けることをおすすめします。」(岩室先生) STI(Sexually Transmitted Infection)…セックスによって感染するウイルスや、細菌によって起きる性感染症のこと。HIVのほか、クラミジア、性器ヘルペス、淋病など。クラミジアに感染しているとHIVにも感染しやすくなります。 「答え」だけを教えてきた日本の教育 ――先生は、性教育に何より大切なことはコミュニケーションであると訴えています。その思いの由来はどういったところにあるのでしょう? 岩室先生:今の日本は、医療でも教育でも、あるいは企業でもそうかもしれませんが、目に見える原因や結果ばかりを追求し、シンプルでわかりやすい「答え」を求めています。性感染症であれば、原因は細菌やウイルスによるもの。感染する経路はセックス。予防法はコンドーム。そういったことは教科書でも教えられ、メディアでも報道され、大多数の人が知っている。答えは既に出ているのです。でも性感染症もAIDSも一向に減らない。なぜか。そこに至った経緯や過程、「プロセス」の教えが抜けているからです。 誰がそういう社会をつくったかといえば、いろいろ原因はあるかと思いますが、僕は医者の責任も感じています。たとえば、たいていの人は風邪を引いたら風邪薬を飲むものだと思っている。包茎であれば手術をするものと思っている。そういう風に教えてしまったのは医者です。「なぜそうなのか」「他に方法はないのか」ということを教えない。「検査結果」に対する「対処」というシンプルな診療ばかりを行ってきてしまった。それは学校教育にもいえます。1+1=2という答えをまず求め、評価する。ここでも「なぜそうなのか」が後回しなんです。それではものごとの本質に気付けない。 性教育も同じです。まず「人の命が大切だ」ということを教えて、それがなぜなのかを後から考えるのでは順番が逆です。「○○だから、人の命が大切だ」と教えなければならない。「○○」は、人それぞれに違う。だから、話し合ってほしいんです。 自分の経験、考えを語ってくれる大人を増やしたいですね。教科書にこう書いてあった、メディアがああ伝えていたと、性感染症を他人事のように話をしていては、子どもの心に届かない。問題にきちんと向き合い、自分の体験と言葉で話せば、子どもたちは話を聞いてくれます。 「正解のない正解」を教える ――インターネットや携帯電話の普及で、子供たちが手に入れられる情報が氾濫しています。わたしたちは子供に与える情報をどう管理し、教えたらよいのでしょう。 岩室先生:興味本位の情報を流す人、まじめな情報を流す人、それぞれの立場の人がそれぞれに多様な情報を伝えていること。それ自体は構わないと思うのです。「何が良いのか」「正解は何なのか」と問われても、「正解」なんてそもそもない。「正解がない正解」が世の中にはいっぱいあるということを、あるがままに伝えることが真の教育ではないでしょうか。 その上で私達大人が自分で考え、思ったことを、責任をもって子どもに伝えることです。「私はインターネットなんて絶対勧めない」と言い切る先生がいてもいいし、「男なら見てみたいよな」という先生がいてもいい。ただし後者の場合は「すべてを信じてはいけないよ」「その情報には嘘もあるかもしれないよ」ということを付け加えてあげることが条件ですよ。いろいろな意見、すなわち情報の切り口が変わることで、子どもたちが理解するチャンスも多くなるし、情報を自分の力で読みこなし、判断する力もついてきます。同時に、子どもたち一人一人の異なる思いや環境を受け入れてあげることもできる。その先に、性感染症の減少や、望まない妊娠の減少もあるのではないでしょうか。現在執筆中の本のテーマも、思春期の心と性に関わる「人づくり」、すなわちコミュニケーションについてです。こんなにコミュニケーション、コミュニケーションと言って、では自分はどうなんだと思われそうですが、自分が立派じゃないからこそ、立派じゃない人間の気持ちや弱さをわかると思っているんですよ。 全国の自治体や学校で講演をされる先生インフォメーション <書籍> 『エイズ いま、何を、どう伝えるか』(大修館書店) エイズ教育では何をこそ伝えるべきなのか。わかりやすく実践的なエイズの知識。 『いいじゃない いいんだよ』(岩室紳也 小国綾子 水谷修 共著)(講談社) 「夜回り先生」こと水谷修さん、新聞記者の小国綾子さんとの共著。 夜回り先生と仲間たちから、生きるのが楽になるメッセージ。 <外来> おちんちん外来 岩室先生が開設した日本に唯一のおちんちん外来。 赤ちゃんやこどものおちんちんや、小児包茎などの悩みについて相談できる専門外来です。 厚木市立病院 泌尿器科 【所在地】〒243-8588 厚木市水引1-16-3 【TEL】 046-221-1570 【診察時間】火曜日 8:30~11:30 【ホームページ】http://www2.city.atsugi.kanagawa.jp/hospital/index.html 社団法人日本家族計画協会市ヶ谷クリニック 【所在地】〒162-0843 東京都新宿区市谷田町1‐10保健会館新館2F 【TEL】 03-3235-2694 【診察時間】第2土曜日(予約制) <ホームページ> http://homepage2.nifty.com/iwamuro/ |
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AIDS発症で多い「ニューモシスティス肺炎」。
誰がそういう社会をつくったかといえば、いろいろ原因はあるかと思いますが、僕は医者の責任も感じています。たとえば、たいていの人は風邪を引いたら風邪薬を飲むものだと思っている。包茎であれば手術をするものと思っている。そういう風に教えてしまったのは医者です。「なぜそうなのか」「他に方法はないのか」ということを教えない。「検査結果」に対する「対処」というシンプルな診療ばかりを行ってきてしまった。
その上で私達大人が自分で考え、思ったことを、責任をもって子どもに伝えることです。「私はインターネットなんて絶対勧めない」と言い切る先生がいてもいいし、「男なら見てみたいよな」という先生がいてもいい。ただし後者の場合は「すべてを信じてはいけないよ」「その情報には嘘もあるかもしれないよ」ということを付け加えてあげることが条件ですよ。いろいろな意見、すなわち情報の切り口が変わることで、子どもたちが理解するチャンスも多くなるし、情報を自分の力で読みこなし、判断する力もついてきます。同時に、子どもたち一人一人の異なる思いや環境を受け入れてあげることもできる。その先に、性感染症の減少や、望まない妊娠の減少もあるのではないでしょうか。
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