第2回 足のカビにもご用心!

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2006.06.06
いまや国民病、水虫っていったい何?

 水虫の患者数は全国で1000万人以上。男女比はほぼ同数といわれています。「水虫」というのはもちろん俗称。正式には足白癬といいます。江戸時代、田植えの時期になると、足にプツプツと水泡ができてかゆいことから、「水の中にいる虫に刺された」と思い込んで、この名がつけられたとか。

 人間の皮膚の表面には、さまざまな細菌が常在しています。もし、私たちの目が、電子顕微鏡並みに優秀なら、親しい人の顔にウヨウヨうごめく菌たちを見て、百年の恋も一気に冷めるところ。幸い、そんな視力もなく、また、細菌たちも、日ごろは悪さをすることもなく、仲良く共存しているわけです。

 こうした細菌やウイルスとは別に、広く自然界に分布しているのが真菌、いわゆるカビ類です。種類は数万種。そのうちヒトへの病原性を示すものは約50種といわれています。
 真菌による感染症の約90%を占めるのが、皮膚の表面に感染する浅在性皮膚真菌。水虫やタムシを引き起こす白癬菌、皮膚の粘膜にとどまるカンジダ菌、フケの原因となる癜風(でんぷう)菌などです。このなかで、白癬菌は、ほかの菌と違って、私たちの皮膚にふだんから住み着いている常在菌ではありません。「何かの拍子に誰かから移り住んでくる」菌なのです。
捨てる足あれば拾う足あり

 白癬菌が原因で起きる病気は水虫だけではありません。頭にできる「しらくも」(頭部白癬)、産毛の生えている部分の皮膚にどこでもできる「タムシ」(体部白癬)、そして、股にできるものを特称して「インキンタムシ」(股部白癬)という具合に、発症部位によって違った病名がつけられています。水虫が手にできる場合もありますが(手白癬)、これはほとんど、足の水虫からうつったもの。白癬菌による感染症で圧倒的に多いのが、足白癬=水虫というわけです。

 水虫は、白癬菌を持っている人の足から持っていない人の足へと菌が付着することで感染します。といっても、足と足が直接接触する場合より、プールや温泉、サウナ、ゴルフ場の浴室、大勢の人が使うスリッパなどからうつるのがほとんどです。白癬菌は、地面に落ちても数日間から、場合によっては数ヵ月も生存するというのですから、大変な感染力。ただ、感染していない人に付着しても、必ず発症するわけではなく、足を洗ったり、拭いたりすれば、簡単に落ちてしまいます。つまり、うっかり清潔を怠って、菌を付着しつづけるのが問題。落ちていた水虫菌をくっつけたまま放置しておくと、菌が皮膚内に侵入し、定着してしまうわけです。


エステですっきり、うつってドッキリ

 水虫の好物はズバリ、高温多湿。それに圧迫。指の血管が締め付けられて、十分に血液が行き渡らなくなると、皮膚表面の新陳代謝がうまく行われずに、菌ははがれにくくなり、どんどん増殖していきます。彼らの栄養源は皮膚の構成成分の一つケラチン。最近、ブーツやハイヒールをはく女性に水虫が増えているのはそのため。蒸れやすいブーツの中や、つま先が圧迫されるハイヒールは、水虫の格好の住み家です。また、足に傷やシワなどがあると、皮膚に侵入しやしくなります。

 水虫にならないためには、とにかく菌を寄せ付けないこと。なにしろ成人の5人に一人という説もあるくらいですから、ジムやフィットネスクラブなど、公共の施設のバスマットには、ほぼ100%、白癬菌がいるとみて間違いありません。サウナやプールに入ったら、必ず自分のタオルで足を拭く、外で入浴しても、帰宅してから足だけは洗う、という習慣をつけましょう。
 足にフィットした靴を選ぶのもポイントの一つです。

白い爪は水虫の色

 では、さっそく足の点検をしてみましょう。指の間の皮膚がむけたり、ただれたりしていませんか?これは「趾間(しかん)型」の水虫。乾いていても、ひび割れた痕などが残っているときは、まだ白癬菌が居座っているかもしれません。また、足の裏やふちなど、とくに床に接するところに小さな水泡がたくさんできるのが「小水疱型」。ほとんどがこの2つのタイプに分かれます。

 もう一つ、最近、テレビのCMでもよく告知されているのが爪白癬。白癬菌が爪の中に入り込んで起こる爪の水虫です。多くは足の水虫を持っている人に合併して起きますが、痛みやかゆみもなく、見逃してしまいがち。でも、りっぱな感染症です。
 爪が白くにごったり、分厚くなったり、変形しているなら要注意。爪白癬は市販の薬では治らないので、なるべく早く皮膚科に相談してください。


「かゆくない」「もう治った」は思い込み?!

 爪白癬に限らず、水虫はかゆいものと思われがちですが、かゆみというのは、菌の出す酵素に対するアレルギー反応によって起こるもので、足の水虫では、白癬菌が繁殖する場所とかゆさを感じる神経とに距離がある場合、かゆみを感じないのです。実際、水虫でかゆみを伴う人は半数くらい。また、足がかゆいからといって受診する人の1/3は、水虫以外の病気といわれています。風邪をひいたり、疲れが重なったりして免疫力が衰えたとき、健康なときにはおとなしかった皮膚表面の常在菌が、急に増えて湿疹などの症状(日和見感染)を起こす場合があるのです。



 水虫を治すには、とにかく忍耐、根気。完治するには少なくとも3ヵ月は必要とよくいわれますが、これは、皮膚の構造からきています。

 水虫は皮膚表面の角質層に住み着いています。皮膚は表皮、真皮、皮下組織からなり、表皮の一番下の基底層で分裂増殖を繰り返しています。基底層から、外気と接する角質層になるまでに4週間(約28日)、角質が垢となってはげ落ちるまで2~4週間かかります。つまり、白癬菌のくっついた皮膚のグループが、完全にはがれ落ちるまで、最低でも8週間はかかるわけ。さらにかかとなどの厚い部分は数ヵ月かかるといわれます。3ヵ月を目安にする理由はここにあるのです。
 爪の場合は6ヵ月かかって、ようやく新しいものに生まれ変わります。見た目がきれいになったからといって、治療を中断するのは禁物です。
 今回のキーワードは「水虫は感染する」「かゆくなくても要注意」「完治に向けて根気よく」です。
 「あれ?」と思ったら自己診断せずに、一度皮膚科に相談してみましょう。
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