第7回 知っておきたい、更年期

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2006.11.14
症状は女性ホルモンの減少とともに

 女性なら誰もが更年期を経験しなければならないのでしょうか? 生理学的に言えば、その答えは残念ながらYESです。
 更年期は卵巣の機能が徐々に衰え、最終的に停止する時期。つまり閉経前の一時期のことを指します。

 45歳くらいまでは、女性の約8割が周期的に月経を迎えています。これが50歳くらいまでに約4割、55歳くらいまでにはほぼ全員が閉経します。厄介なのは、この間に現れる症状。卵巣から規則的に分泌されていた女性ホルモンがだんだん減ってきて、最後にはなくなってしまうため、心身にさまざまな影響を及ぼすのです。

 中でもエストロゲンは、女性の身体にとって最も重要なホルモン。卵巣や子宮の組織や細胞の機能維持はもちろん、骨量を増やしたり、コレステロール値を下げる、コラーゲンに作用するなど、その役割は多種多様。最近では、皮下脂肪の産生を抑制したり、脳の代謝を維持するといった作用も明らかになっています。それがなくなるのですからたいへんです。更年期を迎えた女性の9割が、何らかの変調に悩まされているのです。


閉経10年後も要注意!? 更年期の症状

 更年期の症状は実に千差万別。ホルモンの分泌は自律神経と大きくかかわっているので、いわゆる不定愁訴(ふていしゅうそ)と呼ばれる、病気ではないけれど、なんとなく具合の悪い感じのする症状が、全身のどこに現れてもおかしくありません。ただ、「更年期障害」というのはそれだけにとどまりません。

 不定愁訴は閉経前後の数年間に起きるもので、その後は外陰部炎や尿道炎など泌尿器・生殖器の不快感(閉経から1~5年)、骨粗しょう症(閉経から約10年後)、高脂血症などの動脈硬化症(閉経から約10年後)という具合に時期を追って発症します。これらを総称して、「更年期障害」というのです。




更年期の主な症状(不定愁訴)

  • ほてり、のぼせ、動悸、冷や汗、手足の冷えなど(血管系
  • しびれ、手足のこわばり、腰痛、肩こり、関節痛など(運動器系
  • 頭痛、めまい、耳鳴り、不眠、憂うつ、無気力など(精神神経系
  • 吐き気、嘔吐、食欲不振、便秘、下痢など(消化器系
  • 口腔内の乾燥・苦味、外陰部の乾燥など(外分泌系
  • 頻尿、排尿時の痛み、外陰部のかゆみ、不正出血など(泌尿器系、生殖器系


 不定愁訴も憂うつだけれどもっと気になるのが、コレステロール値を下げてくれたり、骨量をふやしたりした女性ホルモンの減少で起こる、高脂血症骨粗しょう症

 高脂血症は、脳血管障害、虚血性心疾患、高血圧症などの脳や心臓の血管障害の発端となるものですが、これらの病気は、10万人当たり約850人にも上り、年々増加する傾向にあります。肉や甘いものが好きな方、野菜が苦手な方は特に注意です。

 骨密度が低くなるため骨折しやすくなり、寝たきりの原因にもなるということで今や社会問題にもなっている、骨粗しょう症も注意しなければならない症状。元気いっぱい活動的な生活を続けるためにも、けがの心配をするより、骨量の維持に心がけてカルシウムの摂取と適度な運動をして備えたいものです。


若い人にもおススメ、自己診断チェック

 更年期は早い人では40歳くらいから始まりますが、症状が多岐にわたる上、個人差があるので「気のせい」などとやり過ごしたり、じっと我慢してしまう人も多いものです。実際、多少の不快感があっても、たいていの人が自分なりに対処して、ふだん通りに生活しています。でも、前述のように、高脂血症や骨粗しょう症などの大きな疾患を招く危険もありますので、日常生活、特に食生活には気をつけたいものです。

 最近は20代の女性の中にも、更年期症状と同じような不定愁訴が多くみられるようになりました。ストレスなどによって、ホルモンのバランスが崩れ、心身ともに不安定になってしまうのが主な原因。日常生活を見直して、自分なりのリラックス法を見つけると良いでしょう。

 更年期症状は一つに特化して現れるわけではなく、いくつも併せ持つ場合がほとんど。ここに、よくみられる症状を挙げてみました。自分がどのくらい当てはまるかをチェックしてみるのも、今後の対応の目安になります。




更年期自己診断チェック
  1. 疲れがたまりやすい
  2. 息切れがする
  3. よく頭痛がする
  4. めまいや耳鳴りがある
  5. むかついたり、吐き気がする
  6. 顔がほてる
  7. 肩こりや腰痛、関節に痛みがある
  8. お腹が張る
  9. どっと汗をかくことがある
  10. 手足や腰が冷える
  11. 手足がしびれたり、引きつるような感じがある
  12. カーッと熱くなったり、頭がのぼせたりする
  13. 喉が詰まったり、息苦しくなる
  14. 最近、太ってきた
  15. 夜寝つけなかったり、眠りが浅い
  16. 落ち込んだり、クヨクヨすることが多い
  17. 怒りっぽくなった
  18. 自分がイヤになることがある
  19. 身体中がかゆい
  20. 物忘れがひどくなった



 女性の更年期は、ちょうど子供が独立したり、親の介護の問題が出てきたりと、これまでの生活が一転する時期と重なっています。根が真面目な人ほど、何でも深刻に受け止め、ネガティブになりがちです。以上のリストをときどきチェックしてみて、急に「イエス」の項目が増えてくるようなら、婦人科の専門医に相談することをおすすめします。
 
 つらい時期は、閉経後の年月から考えれば、ほんの一時的なもの。あとは歳を取るだけ、なんて悲観せず、その後の人生を無理なく楽しむための通過点ととらえて、上手に乗り切りたいものですね。



高橋祐子(たかはし ゆうこ)
医療ライター。健康・医療・教育関係の雑誌、HPの取材執筆を中心に、医療と生活者を結ぶ健康コンシェルジュ的活動を展開。
 減った分だけ、代わりになる栄養素を追加しよう

 更年期における不定愁訴などを解消する食べ物は大豆です。大豆には、エストロゲンに似た構造を持つイソフラボンという栄養素が含まれています。イソフラボンを適量摂取していると、身体は構造が似ているイソフラボンをエストロゲンだと認識して、更年期特有の不定愁訴や骨粗しょう症を起こしにくくなるのです。
 イソフラボンは、閉経期の方にとってはとても嬉しい栄養素ですが、過剰に摂取するのはよくないとされています。食品安全委員会によると、1日の上限摂取量は70~75mg(サプリメントや特定保健食品で摂取する際は30mg)です。豆腐100gに含まれているイソフラボンは約20mg、豆乳100gでは約25g。1日半丁(120g)の豆腐+コップ1杯(200g)の豆乳が上限の目安です。適正な量を守りつつ、身体によいイソフラボンを上手に取り入れて、いつまでも若々しい健康体を目指しましょう。

管理栄養士 志水あい


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