第8回 シーズン到来! 肝臓をいたわるお酒の飲み方とは?

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2006.12.13
肝臓の任務は重大。だから傷つきやすい

 肝臓には解毒、代謝、ホルモンの合成、胆汁の合成や分泌、タンパク質やビタミンの合成といった重大な働きがあります。中でも、お酒好きにとって重要なのがアルコール分解。アルコールが体内に入ると胃と小腸で吸収され、肝臓で分解されますが、その過程で活性酸素が発生するためにダメージを受け、肝機能が低下します。胃などほかの臓器は、負担がかかると痛みなどの症状が出るものですが、肝臓そのものには自覚症状が出にくいため、沈黙の臓器と呼ばれているのです。

 また、女性が男性に比べてアルコールの害を受けやすいと言われるのは、女性ホルモンがアルコールの代謝を抑えてしまうため。一緒に飲んでも、男性より少ないアルコール量で肝障害が出やすくなると言われています。

二日酔いのメカニズム

 身体に入ったアルコールは、胃や小腸で大部分が吸収された後、肝臓でアルコール脱水素酵素(ADH)によりアセトアルデヒドと水素に分解されます。アセトアルデヒドは、アセトアルデヒド脱水素酵素(ALDH)の働きで酢酸に分解され、最終的には炭酸ガスと水になって排出されます。アセトアルデヒドはホルマリンの仲間の有害物質で、これが血中に増えると悪酔いを起こすのです。

 種類の違うお酒のアルコール濃度を単位で計算すると、二日酔いにならない1日の飲酒量の目安は『2単位』。日本酒でこれを換算すると『2合』、ビールでは大瓶『2本分』、ワインでボトル『1/2本分』、ウイスキーなら“ダブル”で『2杯』。この量のアルコールを肝臓で分解するには約6時間が必要と言われています。忘年会の場合、一次会でビール2本を飲み終えたら、二次会には参加せずに帰宅するかノンアルコールで過せばいいというわけです。

 ちなみに、二日酔いの時に迎え酒をすると治るというのは全くの迷信です。アルコールの摂取によって痛みなどの感覚が麻痺するだけのこと。身体には決してよくないので止めましょう。


お酒に強い人・弱い人

 肝臓で分泌されるアセトアルデヒド脱水素酵素(ALDH)には、体内のアセトアルデヒドが高濃度にならないと働かないALDH1と、低濃度のときに働くALDH2の2タイプがあります。生まれつきALDH2を多く持っている人は、お酒に強い体質といえるわけですが、黄色人種にはALDH2の量が少ないか、持っていない人が多く、日本人の44%がそのようなタイプと言われています。そのため、他の人種に比べてお酒に弱い人が多いのです。ですから、お酒の席で下戸の人に無理やり飲ませるのは厳禁。もともとアルコールを分解できない体質なのですから、大変危険な行為です。

習慣的な飲酒による危険

 アルコールを大量に飲みつづけると、肝機能が低下して肝炎などの肝臓病を招きやすくなります。肝機能の低下は運動不足やストレスなどによっても起こりますが、特にアルコールによって引き起こされます。
 適量を守らず毎日3単位を超えた量の飲酒を5年以上つづけていると、アルコール性脂肪肝が起きると言われています。

 さらに、毎日5単位の飲酒を10年以上つづけた場合には、アルコール性肝硬変が見られるようになります。
 肝臓の病気は、肝細胞に脂肪がたまる「脂肪肝」から始まり、飲みつづけると、肝細胞の周辺に繊維ができる「アルコール性肝繊維症」、肝細胞が破壊される「アルコール性肝炎」、さらに繊維化がすすむと、肝細胞が繊維で囲まれた「肝硬変」へと進行します。

肝機能低下の徴候チェック
5項目以上あてはまったら、アルコールを控え、病院の診察を受けましょう。
顔色が悪い
身体がだるく、疲れやすい
右わき腹がはって重い
大酒を飲んでいたのに飲めなくなってしまった
出血しやすくなった
吐き気がする
手のひらが赤い
食欲がない
下半身にむくみがある
飲んだ翌朝に背中に鈍痛がある
黄疸(おうだん)が出る
赤みを帯びた尿が出る


肝臓をいたわる生活習慣とは?

● 週2日は休肝日を設ける
アルコールを毎日分解していると分解能力が低下するため、休肝日は大切です。最低でも2日間はお休みしましょう。

●すきっ腹では飲まない
つまみなしで飲むとアルコールの処理能力が低下します。肝臓がアルコールを処理する能力を高めるために、タンパク質やビタミンの豊富なつまみを食べながらゆっくりと飲みましょう。

●薬とは一緒に飲まない
アルコールと薬を一緒に飲むと、作用が強く出たり、効き目がなくなったりすることがあります。風邪薬と一緒に飲むと胃潰瘍に、糖尿病の薬では昏睡など危険な状態を招く恐れもあるので、絶対に避けましょう。

● はしご酒はしない
一時にいろんなお酒を飲むと悪酔いすると言われていますが、これはお酒の種類が混ざって害が生じるわけではありません。いろんなお酒を飲むことによって、結果的に酒量が増えてしまい、酔ってしまう場合が考えられます。雰囲気が変わると気分も変わり、つい飲みすぎてしまうので、気をつけましょう。

●定期的に運動をする
運動をすることによって抗酸化酵素の働きが高まると言われています。脂肪肝を増やさないために、毎日、ストレッチやウォーキングなどの有酸素運動を習慣づけましょう。



石川恵理(いしかわ えり)
医療雑誌の編集スタッフ。健康・食・美容・旅など女性のライフスタイル全般についてのライティング・編集に関わる。
 
カレー味のおつまみと一緒にお酒を楽しもう

 飲み会シーズンに欠かせないのが、肝機能をアップさせてくれる栄養素。その代表はウコンに含まれているクルクミン。春ウコン、秋ウコン、紫ウコンがありますが、それぞれ含有成分が違うため、目的によって使い分けるのが得策です。
 つい飲みすぎてしまいがちな日は、アルコール分解のスピードを速め、二日酔いを予防する秋ウコンが◎。ターメリックが豊富に含まれており、カレー粉の材料として使われていることが多いそうなので、二日酔い予防のおつまみは、カレー粉で味付けされた一品が最適です。
 また、飲み会続きで疲れている肝臓をいたわりたいときには春ウコン、胃の調子がよくないときには紫ウコンが◎。いずれも、健康ドリンクなどに含まれ、表示があるので、その日の体調を考えながら取り入れてみましょう。

管理栄養士 志水あい


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