第3回 夏の危険信号! 食中毒対策

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2006.07.05
意外に多い家庭内食中毒
 食中毒というと、給食や仕出し弁当、飲食店など、集団での感染を思い浮かべますが、意外に多いのが、家庭内での発生。なんと年間発生数の15%近くを、家庭での食中毒が占めています。
 この数字は保健所や病院などを通じて、正式に食中毒と認定されたものだけですから、実際には、この10倍以上の患者数がいるといわれています。家庭では小人数しか発症しないうえに、原因を特定できません。よほど重症でない限り、寝冷えや風邪程度と判断してしまい、病院にも行かずに治ってしまう場合も多いので、実態がつかみにくいのです。
 実は、安全と思いがちな家庭料理にこそ落とし穴が。たとえば、世界各地から送られてくる食品。厳重な検査を受けるとはいえ、たくさんの人の手を経て私たちのもとへ届く以上、汚染される可能性がないとはいえません。食材の半分以上を輸入に頼っている日本では、冷凍や運搬技術が発達し、流通の規模が拡大すればするほど、見知らぬ菌を運び込む危険も大きくなるのです。
 また、家族が食べるものだからと、手洗いや調理器具の洗浄に、あまり気を配らない人も多いのではないでしょうか。空調の効いた室内では、つい料理や材料を出しっぱなしにしてしまうことも。冷蔵庫も開閉しすぎると、急速に庫内の温度が上がってしまいます。快適な生活環境が、食中毒を横行させることにもなってしまうのです。


菌の数だけ中毒がある
 食中毒には、フグや毒キノコなど自然毒によるものも含まれますが、原因の9割は「細菌」です。自然界にしたたかに生きている細菌たちは、私たちが毎日口にする食品に、簡単にくっついて移動し、あっという間に何万倍にも増えるのです。厄介なのは食品に付着して増殖する段階では味もニオイも変わらないので、気づかずに食べてしまう危険が高いことです。
 食中毒の原因菌は、もともと私たちの腸内にいる常在(じょうざい)細菌と違い、外部から入って腸管(腸の組織内部)に到達し、どんどん増殖していきます。発症のしかたはさまざまですが、

(1) 菌そのものが腸管で増殖して食中毒を起こさせるもの(感染侵入型
(2) 腸管内で菌が作り出す毒素により発症するもの(生体内毒素型
(3) あらかじめ食品内で菌が産生した毒素を口にしてしまうもの(生体外毒素型

 以上、大きく3つのタイプに分かれます。汚染の度合いや身体の状態によっては、死に至るなど、深刻な事態を招く危険もあるので、それぞれの菌の特徴をある程度つかんでおくことも大切です。
   
食中毒の主な原因菌とその特徴をご紹介します。



菌は世につれ、食につれ 
 かつて、サルモネラ菌ブドウ球菌と並んで、三大食中毒の一つにあげられた腸炎ビブリオ菌は、発生数が減少しています。腸炎ビブリオ菌は、海水に存在し、海産物にだけ付着することでよく知られています。
 その代わり、この頃よく耳にするのが、鶏肉や飲料水などを通して感染するカンピロバクターや、スープやカレーなどで集団発生を引き起こしやすいといわれるウエルシュ菌。カンピロバクターもウエルシュ菌も、家畜や鶏の腸管に由来し、肉や卵、牛乳など動物性たんぱく質を原因食品とする菌で、最近急増しています。
 若者の魚離れや、肉類・卵・乳製品などを中心とした欧米型の食事が、食中毒の傾向にも影響しているのです。
 また、ここ数年、深刻な問題となっている病原性大腸菌(O-157など)による感染症も、食生活の欧米化と深い関係があると言っていいでしょう。欧米的な高脂肪高タンパクの食事によって、腸内環境のバランスが崩れ、免疫機能がうまく働かなくなって、病原性大腸菌の増殖を許してしまうことも考えられるからです。

基本をおさえて、さっそく予防
 そんなに神経質にならずとも、ちょっとした気配りで食中毒は防げるもの。厚生労働省では、食中毒の発生経過に合わせ、「つけない」「増やさない」「やっつける」という食中毒予防3原則を提唱しています。


菌をつけない
《洗う》手洗いは基本中の基本。食材も、洗えるものはすべて流水で洗いましょう。サラダ用のカット野菜も同様です。
《消毒する》魚や肉を扱った器具は、食材が変わるごとにこまめに洗いましょう。とくにまな板は熱湯消毒を心がけたいもの。
《ラップやフタをする》魚や肉を買ってきたら、ほかの食品と触れないよう、きちんと密封して、冷凍・冷蔵室にすぐに保管してください。

菌を増やさない
《なるべく早く食べる》菌は放置するほど増えていきます。調理をしたら時間を置かずに、できるだけ早く食べましょう。熱いものは熱いうちに、冷たいものは冷たいうちに。
《冷蔵庫で保管する》実は、冷凍・冷蔵庫では菌は死なずに眠っているだけです。また、低温でも増殖する菌があるので、冷凍・冷蔵庫への過信は禁物。せめて、庫内の温度を上げないために、食品は詰めすぎず、長期保存は避けましょう。

菌をやっつける
《十分に加熱調理する》食品の加熱の目安は「中心部まで75℃で1分以上」。卵も賞味期限の過ぎたものは加熱してください。鍋での煮炊きはよくかき回し、電子レンジ調理もフタをして、ときどきかき混ぜます。
 
 原因菌は、自然界にふつうに存在します。食品を扱うときにはくれぐれも衛生を心がけ、手にも食品にも細菌を近づけないように、また、菌を増殖させないようにすること。豊かな食卓は、食中毒の脅威と隣り合わせにあることも忘れたくないものです。

腸内環境をととのえ、食中毒予防

 同じものを食べたのに、食中毒になる人とならない人がいるのは、なぜでしょう? これは第一にその人が病原菌に対して免疫をもっているため。また、その人自身の体力や免疫力の違いも大いに関係するといわれています。
 腸内には約100種類、100兆個以上もの細菌があり、消化吸収活動のほかに、免疫システムをコントロールするという重要な役割を果たしています。食生活の乱れなどで、腸内環境が悪化すると、免疫活動がうまく働かなくなり、腸粘膜から病原菌が侵入しやすくなって、食中毒を引き起こす危険性も高くなるわけです。したがって、食生活を見直し、腸内の環境をととのえることも、食中毒予防の一つといえるでしょう。

得する健康ナビ


善玉菌を増やして、腸内の菌バランスをよくしよう!
腸内環境を整えるには、善玉菌と悪玉菌のバランスをよくすることが大切です。ところが、現代人に多く見られる欧米型の食生活は、肉類の摂取が多くなってしまうことで悪玉菌の数を増加させてしまいがち。乳酸菌やビフィズス菌といった善玉菌を増やすには、それらを多く含むヨーグルトや乳酸菌飲料、漬物など発酵食品がおすすめです。発酵食品の中でも、植物性食品を発酵させたぬか漬けやキムチなどは、生きたまま腸内に到達しやすい善玉菌を含んでいると言われています。そして、善玉菌を摂取した後に必要となるのが、善玉菌のエサとなって腸内で善玉菌の増殖を促進するオリゴ糖を摂ること。効率よく腸内環境を改善するためには、「摂取して、増やす」ということを考えることが大切です。

オリゴ糖……野菜や果物、牛乳などに含まれるものですが、量がごくわずかなので、糖類に酵素などを働かせて人工的につくられたものが商品化されています。現在では、さまざまな食品や、サプリメントなどにも使用されています。

(管理栄養士 志水あい)




この夏は、お腹の健康に気をつけて、快適に楽しく過ごしましょう!
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