気になる健康&医療コトバ 『腹腔鏡下手術』

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2006.07.27
福岡ソフトバンクホークス・王監督の手術で有名に

 王監督の手術で話題になった腹腔鏡下手術(ふっくうきょうかしゅじゅつ)。聞いたことがありそうでなさそうな言葉ですが、驚くのは術後の回復力。いくら野球で鍛えた強靭な肉体とはいえ、胃をぜんぶ摘出したのに、翌日ICUから出た直後に、もう病室内を歩いたというのですから。
 腹腔鏡下切除手術というのは、おなかに開けた数ヵ所の小さな穴から、腹腔鏡(ファイバースコープというカメラ)と電気メスなどを入れて、モニター画像を見ながら、ガン患部を切除するものです。おなかを大きく切らないので、ほかの臓器を外部の空気にさらされずにすむというのがメリット。痛みも少なく、手術のダメージを最小限に抑えることができるわけです。
 それにしても、15ミリを4つ、5ミリを2つ、おなかに穴を開けるだけで、胃を切り取ることができるとは。しかも、王監督の場合、リンパ節への転移が1ヵ所見つかり、それもすっかり切除したとのこと。切った胃袋は、おなかの上の方につけた4~5センチの切り口から取り出し、最後に胃の噴門部(入り口)と小腸をつないで手術終了。

技術の進歩は早い
 胃の粘膜にできたガンを開腹せずに切除する方法としては、口からカメラを挿入する内視鏡手術がありますが、これは、ごく早期の胃ガンに限り有効といわれています。
 腹腔鏡下手術も同じで、患部が粘膜の表層にとどまっていること、スキルス性のように広がりにくい分化型であることなど、さまざまな条件が合わないと手術できなかったものでした。ここ数年の間で、このように一般の開腹手術に匹敵する外科治療となっていることは、めざましい医学の進歩といえるでしょう。
 とはいえ、腹腔鏡下切除手術は遠隔操作のため、器具の操作範囲に限界があり、臓器や血管を傷つける危険もあることなどから、まだまだ非常に高度な技術が必要で簡単に受けられる種類の手術ではありません。そういえば、王監督の手術後の記者会見では、出血量が少なかった点が強調されていましたね。そのときの主治医の晴れやかな笑顔は、その手術の困難さを物語っています。
 ともあれ、王監督の1日も早い復帰と、内視鏡技術のさらなる発展を祈りたいものです。

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高橋祐子(たかはし ゆうこ)
医療ライター。健康・医療・教育関係の雑誌、HPの取材執筆を中心に、医療と生活者を結ぶ健康コンシェルジュ的活動を展開。
http://blog.goo.ne.jp/yt917riverflows/
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