自宅で受けられるアレルギー検査キットの結果に「陽性」や高いクラスが並ぶと、その食べ物を避けるべきか迷ってしまいます。けれども、検査の数値と、実際に症状が出るかどうかは同じではありません。
判断の分かれ目は、何を測った検査なのかと、いま実際に症状が出ているかどうかです。この記事では、検査結果の読み方と、医療機関で確かめる目安を、日本アレルギー学会の情報をもとに整理します。
この記事のまとめ
- アレルギーの血液検査では特異的IgE抗体を調べる。陽性は反応が起きている可能性を示すもので、それだけでは食物アレルギーの診断にならない
- いつも食べていて症状が出ない食品は、陽性でも摂取して問題ないとされる。初めて食べる食品は医師に相談
- IgG抗体の検査は、日本アレルギー学会などが食物アレルギーの診断での有用性を否定している
- 疑わしい食品を自己判断で食べて試すのは危険。確かめるのは医療機関の食物経口負荷試験
※日本アレルギー学会「アレルギーポータル」と日本小児アレルギー学会の資料によるもの。詳細は本文で。
この記事の書き方について
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医療についての記載は、日本アレルギー学会が運営する「アレルギーポータル」と日本小児アレルギー学会の見解、検査キットの記載は販売元の公式サイト(2026年10月16日時点)によるものです。この記事は一般的な情報で、診断や治療の判断は医師の診察で行われます。記事の作り方はコンテンツ制作方針に記載しています。
アレルギー検査キットで分かること・分からないこと
アレルギーの血液検査で調べる「特異的IgE抗体」
アレルギーの血液検査で一般的なのは、さまざまなアレルギー物質に対するIgE抗体が血液中にあるかを調べる「特異的IgE抗体検査」です。結果はアレルギー物質ごとの測定値と「クラス」で示され、クラスは0〜6の7段階で、クラス0が陰性、クラス1が偽陽性、クラス2〜6が陽性と判断されます(アレルギーポータル)。
郵送の検査キットにも、このIgE抗体を調べるものがあります。たとえばGME医学検査研究所のアレルギー検査キットは、指先から採った少量の血液で、食品22項目と、ダニ・花粉・カビなどの吸入系19項目のIgE抗体を調べるとしています。郵送検査は保険適用ではないと案内されています(GME医学検査研究所)。
「陽性」でも、食物アレルギーと決まったわけではない
日本アレルギー学会は、IgE抗体は症状がなくても検出されることがあり、症状がない場合はアレルギーがあるとは必ずしもいえないと説明しています(アレルギーポータル)。食物アレルギーについても、血液検査や皮膚テストはアレルギー反応が体の中で起きている可能性を調べるまでで、陽性だからといって食物アレルギーの診断にはならないとしています(アレルギーポータル)。
たとえば、小麦を使った食品をいつも食べていて症状が出ないのに、検査で小麦が陽性と言われた場合について、同学会は「もともと食べていて症状が出ない場合には摂取しても問題ありません」と答えています。ただし、食べたことがない食物を食べる場合は症状が出る可能性があるため、医師への相談が必要としています(アレルギーポータル)。
IgG抗体の検査は、食物アレルギーの診断に使えない
IgE抗体ではなく、食べ物に対するIgG抗体を調べる検査もあります。日本小児アレルギー学会は2014年、この検査を食物アレルギーの原因食品の診断法としては推奨しないという見解を出しました(日本小児アレルギー学会の見解)。
日本アレルギー学会も、日本小児アレルギー学会や米国・欧州の学会とともに、食物アレルギーでのIgG抗体検査の診断での有用性を否定しています。理由として、健康な人にも存在する抗体であること、確定診断に使う食物経口負荷試験の結果と一致しないこと、IgG抗体の量は食べた量に比例しているだけであることを挙げ、この結果をもとに食品を除去すると、原因ではない食品まで除去することになり、多品目に及ぶと健康被害を招くおそれがあるとしています(アレルギーポータル)。
IgE抗体の検査に出にくいアレルギーもある
すべてのアレルギーがIgE抗体の検査で分かるわけではありません。たとえば、新生児期から乳児期に起こる消化管の症状が中心の食物アレルギーは、IgE抗体を介さない反応で起こるため、血液検査でIgE抗体が陽性にならないことが多いとされています(アレルギーポータル)。
金属や化粧品などによる「かぶれ」(接触皮膚炎)も、IgE抗体の血液検査ではなく、疑わしい物質を皮膚に貼って反応を見るパッチテストで調べます(アレルギーポータル)。検査キットが陰性でも症状が続く場合は、医療機関で相談しましょう。
症状別に見る、検査結果との関係
同じ検査結果でも、どんな症状があるかによって、確認したいことは変わります。日本アレルギー学会の説明をもとに、代表的な症状ごとに整理します。
くしゃみ・鼻水・鼻づまり:一年中か、季節だけか
アレルギー性鼻炎は、ダニやホコリなどが原因で1年を通して症状が出る「通年性」と、スギやヒノキの花粉などが原因で飛散時期だけ症状が出る「季節性(花粉症)」に分けられます(アレルギーポータル)。検査でダニや花粉が陽性だったときは、症状が出る時期と合っているかを見ておくと、医師に伝えやすくなります。
| タイプ | 主な原因 | 家でできる対策の例 |
|---|---|---|
| 通年性 | ダニ、ホコリなど | 寝具やクッションを日光や乾燥機で乾燥させる。掃除機はゆっくり動かして吸引する。丸洗いできる寝具を選び、こまめに洗う |
| 季節性(花粉症) | スギ・ヒノキなどの花粉 | 飛散時期は花粉を室内に入れないよう、窓を開けずに除湿機やエアコンを活用する |
対策の例はアレルギーポータル「室内環境の整備について」によります。同学会は、ダニやカビは室内からなくすことはできないので神経質になる必要はないとしています。
果物や野菜で口やのどがかゆくなる:花粉との関係
食べてすぐに口の周りの赤みや口の中の腫れ、のどの違和感が出る食物アレルギーを「口腔アレルギー症候群」と呼びます。花粉症に関連した果物や野菜で起こることが多く、花粉とのアレルゲンの似かたによって起こるものは「花粉-食物アレルギー症候群」と呼ばれます。加熱や加工で症状が出にくくなる食品もあるとされています(アレルギーポータル)。
肌のかゆみ・かぶれ:触れた場所に出ているか
接触皮膚炎は、化粧品やヘアケア用品、金属製の装身具、洗剤など、身の周りのほとんどの物質が原因になりえます。多くは原因の物質が触れた場所に起こるため、皮疹が出る部位に関係する生活用品を調べます(アレルギーポータル)。日本アレルギー学会は、単純な「かぶれ」と自分で判断せず、違和感を覚えたら速やかに専門の医療機関を受診するよう勧めています。
食後の腹痛や下痢:アレルギー以外の原因も
食後の不調には、食物アレルギーのほかに、食べ物に付いた病原体などによる食中毒や、酵素がうまく働かないなどの理由で起こる「食物不耐症」もあります。これらと食物アレルギーの区別には、専門の医師による正確な診断が必要とされています(アレルギーポータル)。
検査結果を見たあとにやること

食べられている食品を、自己判断でやめない
食物アレルギーの除去は、必要最小限にすることが基本です。重症でない人は、原因の食物が少量なら食べても症状が出ないことがあります(アレルギーポータル)。検査の数値だけを理由に食品をやめると、原因ではない食品まで除くことになりかねません。医師から除去の指示を受けた場合は、除く食材に含まれる栄養を補う食べ物(代替食)をとるよう勧められています。
疑わしい食品を、自宅で試しに食べない
食べられるかどうかを確かめる食物経口負荷試験は、ときにアナフィラキシーを含む重い症状を起こすことがあるため、病院で十分な準備を整えて行う検査です。日本アレルギー学会は、医師の指示なく保護者の判断で、自宅などで原因と疑われる食べ物を試しに食べることは非常に危険なので、絶対にやめるよう呼びかけています(アレルギーポータル)。大人の場合も、自己判断で試すのは避け、医師に相談しましょう。
受診するときに伝えたいこと
食物アレルギーが疑われるときは、何を、どれくらい食べて、何分後に、どのような症状が出たかを医師に伝えましょう(アレルギーポータル)。検査キットの結果も、あわせて持参して医師に見せましょう。
- 症状が出た食品や物質と、その量
- 症状が出るまでの時間と、症状の種類
- 同じものでくり返し症状が出たか
- 検査キットの結果(受けた日と検査の種類)
- 服用中の薬
受診先は、子どもなら小児科、大人で息がゼーゼーするなどの呼吸器症状なら内科や呼吸器科、症状が出た部位によって皮膚科・耳鼻咽喉科・眼科が目安です。アレルギー科のある医療機関や、アレルギーの専門医であれば、原因を特定する専門的な検査や治療を受けられます(アレルギーポータル)。専門医や医療機関はアレルギーポータルの医療機関情報で探せます。
医療機関で行う主な検査

医療機関では、血液検査のほかにも、症状に合わせて次のような検査が行われます。
| 検査 | 内容 |
|---|---|
| 特異的IgE抗体検査 | 血液でアレルギー物質ごとのIgE抗体を調べる。測定できるアレルギー物質は200種類以上あり、保険診療では1回に測定できる項目数に上限がある |
| 皮膚プリックテスト | アレルギー物質のエキスを皮膚に少量たらし、専用の針で刺して反応を見る。15〜20分で判定できる |
| パッチテスト | 金属アレルギーなどの接触皮膚炎を調べる。試薬を皮膚に貼り、48時間後以降に判定する |
| 食物経口負荷試験 | 医師の管理のもとで疑わしい食べ物を実際に食べ、症状が出るかを確かめる。食物アレルギーを正確に診断し、除去や解除を進めるために行う |
アレルギーポータル「アレルギー検査について」・「食物アレルギー」によります。
食べただけでは症状が出ず、食後4時間以内に運動したときだけ症状が出る「食物依存性運動誘発アナフィラキシー」というタイプもあります。この場合は、食物経口負荷試験に運動を組み合わせて診断します(アレルギーポータル)。
アレルギー検査キットの主なリスクと、すぐ受診したい症状
結果の読み違いによるリスク
検査キットそのものよりも注意したいのは、結果の受け取り方です。
- 陽性を理由に食品をやめすぎる:原因ではない食品まで除くと、栄養が偏るおそれがある
- 陰性で安心してしまう:検査項目に含まれない物質や、IgE抗体を介さない反応は、結果に出ない
- IgG抗体の結果で判断する:食物アレルギーの診断での有用性は、学会が否定している
GME医学検査研究所は、服用中の薬がある場合は自己判断で中止せず担当医に相談すること、抗IgE抗体療法薬を使っていると値が高くなる可能性があることを案内しています(GME医学検査研究所)。
アナフィラキシーが疑われるときは、すぐ救急車を
アレルギー反応で複数の臓器に強い症状が急に出る状態を「アナフィラキシー」と呼び、命に関わることもあります(アレルギーポータル)。次のような症状が同時に急激に進むときは、検査結果を待たずに対応してください。
- 皮膚・粘膜:じんましん、かゆみ、むくみ、口の中や唇・舌の違和感や腫れ
- 呼吸器:のどや胸が締め付けられる、声がかすれる、ゼーゼーする呼吸、息がしにくい
- 消化器:繰り返し吐き続ける、持続する強い腹痛
- 全身:ぐったりする、唇や爪が青白い、脈が触れにくい、意識がもうろうとする
日本アレルギー学会は、アドレナリン自己注射薬(エピペン)やアドレナリン点鼻薬(ネフィー)を持っている場合はすぐに使い、必ず救急車を呼んで医療機関を受診するよう呼びかけています(アレルギーポータル)。
アレルギー検査キットについてよくある質問
- 検査キットで「陽性」でした。その食品はやめたほうがよいですか?
-
日本アレルギー学会は、もともと食べていて症状が出ない場合には摂取しても問題ないとしています。陽性だけでは食物アレルギーの診断にはなりません。食べたことがない食品を食べる場合は、症状が出る可能性があるため、医師に相談しましょう。
- クラス1は陽性ですか?
-
特異的IgE抗体検査のクラスは0〜6の7段階で、クラス0が陰性、クラス1が偽陽性、クラス2〜6が陽性と判断されます。ただし、陽性でも症状がなければ、アレルギーがあるとは必ずしもいえません。
- 結果が陰性なら、アレルギーはないと考えてよいですか?
-
検査項目に含まれない物質や、IgE抗体を介さない反応は、結果に出ないことがあります。金属や化粧品によるかぶれはパッチテストで調べます。陰性でも症状が続くときは、医療機関で相談しましょう。
- IgG抗体(遅延型)の検査も受けたほうがよいですか?
-
日本アレルギー学会と日本小児アレルギー学会は、食物アレルギーの診断でのIgG抗体検査の有用性を否定しています。健康な人にも存在する抗体で、結果をもとに除去すると原因ではない食品まで除くことになり、健康被害を招くおそれがあるためです。
- どの診療科に相談すればよいですか?
-
子どもなら小児科、大人で呼吸器の症状があれば内科や呼吸器科、症状が出た部位によって皮膚科・耳鼻咽喉科・眼科が目安です。アレルギー科のある医療機関や専門医であれば、原因を特定する専門的な検査を受けられます。
まとめ:数値だけで判断せず、症状とあわせて医師に相談する
アレルギー検査キットの結果は、体の中でアレルギー反応が起きている可能性を示す手がかりです。症状が出ているかどうかとあわせて見ることで、はじめて意味を持ちます。
- 陽性でも、いつも食べていて症状が出ない食品は、自己判断でやめない
- IgG抗体の結果で食品を除去しない
- 疑わしい食品を自宅で試さず、医療機関で相談する
- アナフィラキシーが疑われる症状が出たら、すぐに救急車を呼ぶ
出典
- 一般社団法人日本アレルギー学会「アレルギーポータル」(2026年10月16日閲覧):アレルギー検査について/食物アレルギー/アナフィラキシー/アレルギー性鼻炎/接触皮膚炎/室内環境の整備について
- 日本小児アレルギー学会 食物アレルギー委員会「血中食物抗原特異的IgG抗体検査に関する注意喚起」2014年11月19日 https://www.jspaci.jp/uploads/2021/05/kenkai_IgG4.pdf
- GME医学検査研究所「アレルギー検査キット」(2026年10月16日閲覧) https://healthcheck.gme.co.jp/allergy/
- 厚生労働省「美容医療に関する取扱いについて」令和7年8月15日 医政発0815第21号 https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=00tc9325
