分け目が目立つようになった、髪全体のボリュームが減った気がする。そんな変化に気づいたとき、「FAGA」という言葉を目にする人も多いはずです。ただ、女性の薄毛にはいくつもの原因があり、FAGAかどうかで対処の仕方も変わります。
最初に知っておきたいのは、女性の薄毛は原因によって治療法が違うため、まず皮膚科などで原因を確かめることです。この記事では、FAGA(女性型脱毛症)の特徴、ほかの原因による抜け毛との違い、ガイドラインで勧められている治療と勧められていない治療、受診の目安を、日本皮膚科学会の情報をもとに整理します。
この記事のまとめ
- FAGAは、日本皮膚科学会のガイドラインでは「女性型脱毛症」と呼ばれる。前髪は残り、その奥から頭頂にかけて広く薄くなるのが特徴
- 甲状腺の病気や貧血、急激なダイエット、薬などによる抜け毛と区別することが大切。まず皮膚科で原因を確かめる
- 最も勧められている治療はミノキシジルの外用(1%)(推奨度A)
- フィナステリド・デュタステリドの内服、ミノキシジルの内服は、女性型脱毛症には「行うべきではない」(推奨度D)
- 治療は保険診療外。効果を見るには一定期間続ける必要がある
※推奨度は「男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン 2017年版」(日本皮膚科学会)によるもの。治療の判断は医師の診察で。
この記事の書き方について
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医療についての記載は、日本皮膚科学会の「男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン 2017年版」と皮膚科Q&A、製薬会社の公開情報(2026年10月15日時点)によるものです。この記事は一般的な情報で、診断や治療の判断は医師の診察で行われます。記事の作り方はコンテンツ制作方針に記載しています。
FAGA(女性型脱毛症)とは
FAGAは「女性の男性型脱毛症(Female AGA)」の略として使われる言葉です。日本皮膚科学会の「男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン 2017年版」では、男性とは病態が異なる点を考え、病名として「女性型脱毛症」を用いています(診療ガイドライン2017年版)。
薄くなり方の特徴
日本皮膚科学会は、女性型脱毛症は男性と異なり、前髪が残り、その少し奥から頭頂にかけて薄毛となるパターンをとることが多いと説明しています(皮膚科Q&A「脱毛症」Q8)。ガイドラインでも、女性では頭頂部の比較的広い範囲の頭髪が薄くなるパターンとして観察されるとされています。生え際から後退していく男性の薄毛とは、見え方が違います。
起こりやすい時期
ガイドラインでは、女性型脱毛症は男性と発症の時期が異なり、更年期に多くなるとされています(診療ガイドライン2017年版)。ただし、更年期以外の年代で起こらないという意味ではありません。年齢にかかわらず、気になる変化があれば受診を検討しましょう。
原因
男性の男性型脱毛症は男性ホルモンの影響が明らかですが、日本皮膚科学会は、女性型脱毛症では男性ホルモンの影響に関する明確なデータはなく、女性ホルモンの状態などさまざまな理由により生じている場合が多いと考えられているとしています(皮膚科Q&A「脱毛症」Q8)。
ほかの原因による抜け毛との違い

女性の薄毛は、すべてがFAGA(女性型脱毛症)ではありません。ガイドラインは、女性型脱毛症の診断では、次のような原因による脱毛を除外することが大切だとしています(診療ガイドライン2017年版)。
- 慢性的な休止期脱毛
- 膠原病や慢性甲状腺炎などの全身の病気に伴う脱毛
- 貧血
- 急激なダイエット、その他の消耗性の病気に伴う脱毛
- 治療としてのホルモン補充療法や、薬剤による脱毛
- ゆっくり進んで頭全体が薄くなるタイプの円形脱毛症
日本皮膚科学会は、甲状腺機能低下症や亜鉛欠乏症などでも脱毛が生じうること、大きな手術や重症の感染症、妊娠、過激なダイエットのあとに抜け毛が増える「休止期脱毛」があることも説明しています(皮膚科Q&A「脱毛症」Q17)。原因によって治療法は異なるため、抜け毛が気になったら、皮膚科など専門の医療機関を受診することが大切です(皮膚科Q&A「脱毛症」Q18)。
受診するか迷ったときの目安は、FAGAの治療を始めるか迷ったときの記事でまとめています。

FAGAの治療法と、ガイドラインの推奨度
日本皮膚科学会のガイドラインは、治療ごとに「推奨度」を示しています。女性型脱毛症に対する主な治療の推奨度は次のとおりです(診療ガイドライン2017年版)。
| 治療 | 女性型脱毛症への推奨度 | ガイドラインの推奨文 |
|---|---|---|
| ミノキシジルの外用(1%) | A | 行うよう強く勧める |
| LED・低出力レーザーの照射 | B | 行うよう勧める |
| アデノシンの外用 | C1 | 行ってもよい |
| カルプロニウム塩化物の外用 | C1 | 行ってもよい |
| 自毛植毛術 | C1 | 行ってもよい |
| かつらの着用 | C1 | 行ってもよい |
| 成長因子導入・細胞移植療法 | C2 | 行わないほうがよい |
| フィナステリドの内服 | D | 行うべきではない |
| デュタステリドの内服 | D | 行うべきではない |
| ミノキシジルの内服 | D | 行うべきではない |
| 人工毛植毛術 | D | 行うべきではない |
日本皮膚科学会は、女性型脱毛症の治療に最も勧められる薬剤はミノキシジルの外用剤で、次に勧められる治療が低出力の光やレーザーの照射だとしています。いずれも保険診療外の治療です(皮膚科Q&A「脱毛症」Q9)。
ミノキシジルの外用
ミノキシジルは、毛乳頭細胞に働きかけて毛の成長を促す薬です(皮膚科Q&A「脱毛症」Q9)。ガイドラインが女性型脱毛症に推奨度Aとしているのは1%のミノキシジル外用です。市販薬では、大正製薬が女性向けにミノキシジル1%を配合した「リアップリジェンヌ」ブランドを案内しています(大正製薬「よくあるご質問」)。クリニックで処方される外用薬には濃度の違うものもあるため、処方を受けるときは濃度と使い方を確認しましょう。
外用薬の塗り方や、シャンプー・整髪料との順番は薄毛治療中のヘアケアの記事で説明しています。
女性には勧められていない治療
男性型脱毛症の飲み薬として使われるフィナステリドとデュタステリドは、女性型脱毛症には有効性が確立されておらず、妊娠の際の副作用の問題などから「行うべきではない」とされています(皮膚科Q&A「脱毛症」Q9)。ミノキシジルの内服も、日本では認可されておらず、胸痛・動悸・むくみなどの心血管系の副作用の報告があることから、ガイドラインでは男女とも「行うべきではない」(推奨度D)とされています(診療ガイドライン2017年版)。
クリニックによっては、ミノキシジルの内服薬や、成長因子などを頭皮に注入する治療(メソセラピー)を中心にしたプランを案内していることがあります。勧められた治療がガイドラインでどう位置づけられているかを、契約の前に医師に確認しましょう。
クリニック選びと、治療中の過ごし方

治療を受けるなら、医師の診察で原因を確かめ、治療の内容とリスクを説明してくれる医療機関を選ぶことが基本です。厚生労働省は、資格を持たないカウンセラーが、患者の状態に応じて治療方法を提案・決定することは医師法違反になると示しています(厚生労働省の通知本文)。
- クリニックの選び方:FAGAのクリニック選び|信頼できる医師を見極める6つのチェックポイント
- 診察の準備:FAGA治療で医師と上手に話すコツ
- 生活習慣:女性の薄毛(FAGA)と生活習慣
- 髪型:FAGA治療中の髪型とスタイリング
- 気持ちの整え方:FAGA治療中の人付き合いと気持ちの整え方
日本皮膚科学会は、抜け毛を防ぐために、髪に負担のかかる髪型や極端に頻回のカラーリングを避けること、バランスのとれた食生活と規則正しい生活を心がけることを挙げています(皮膚科Q&A「脱毛症」Q18)。これは治療の代わりではなく、抜け毛の原因をつくらないための習慣です。
FAGA治療の主なリスク・副作用
大正製薬は、ミノキシジル外用薬の副作用の主なものは、接触性皮膚炎や発赤などの皮膚のアレルギー症状だと説明しています(大正製薬「よくあるご質問」)。塗り始めてから頭皮のかぶれや赤み、かゆみが出たときは、使用をやめて医師や薬剤師に相談しましょう。
ガイドラインで女性に「行うべきではない」とされているフィナステリド・デュタステリドの内服は、妊娠中の人や妊娠の可能性がある人が服用すると、男子胎児の生殖器官の発育に影響を及ぼすおそれがあるとされています(診療ガイドライン2017年版)。ミノキシジルの内服には、心血管系の副作用の報告があります。こうした薬を勧められた場合は、理由とリスクを医師に確認してください。
抜け毛が急に増えた、円形に抜けている、体調の変化を伴うといった場合は、FAGA以外の原因の可能性もあります。自己判断で市販薬だけを続けず、皮膚科を受診しましょう(皮膚科Q&A「脱毛症」Q18)。
FAGAについてよくある質問
- FAGAの治療に保険は使えますか?
-
日本皮膚科学会は、女性型脱毛症の治療(ミノキシジルの外用、光・レーザーの照射など)はいずれも保険診療外だとしています。ただし、甲状腺の病気など別の病気が原因の脱毛であれば、その病気の診療は保険診療になる場合があります。まずは皮膚科で原因を確かめましょう。
- FAGAは何歳くらいから起こりますか?
-
ガイドラインでは、女性型脱毛症は更年期に多くなるとされています。ただし、それ以外の年代で起こらないということではありません。年齢にかかわらず、薄くなり方が気になる場合は皮膚科で相談してください。
- 男性用の育毛剤や発毛剤を使ってもよいですか?
-
ガイドラインが女性型脱毛症に推奨しているミノキシジル外用は1%です。大正製薬は、男性用(ミノキシジル5%)の製品は日本人女性での安全性が確認されていないとして、女性にはミノキシジル1%の製品を使うよう案内しています。
まとめ:まず原因を確かめ、勧められている治療から
FAGA(女性型脱毛症)は、前髪が残り、その奥から頭頂にかけて広く薄くなるのが特徴です。ただ、女性の薄毛にはほかにも原因があるため、最初に皮膚科で原因を確かめることが大切です。
- 甲状腺の病気・貧血・ダイエット・薬など、ほかの原因がないか確かめる
- 治療はガイドラインの推奨度を確認する。最も勧められているのはミノキシジル1%の外用
- フィナステリド・デュタステリド・ミノキシジルの内服は、女性には勧められていない
出典
- 公益社団法人日本皮膚科学会「男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン 2017年版」 https://www.dermatol.or.jp/uploads/uploads/files/AGA_GL2017.pdf
- 公益社団法人日本皮膚科学会 皮膚科Q&A「脱毛症」Q8・Q9・Q17・Q18 https://qa.dermatol.or.jp/qa11/q08.html
- 大正製薬「よくあるご質問」(リアップシリーズ)2026年10月15日閲覧 https://brand.taisho.co.jp/riup/qanda/
- 厚生労働省「美容医療に関する取扱いについて」令和7年8月15日 医政発0815第21号 https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=00tc9325
