脱毛を始めようと考えたとき、まず気になるのは費用や効果、痛みかもしれません。けれども予約の前に、もうひとつ整理しておきたいことがあります。これまでに受けてきた美容医療の施術歴と、いま飲んでいる薬、肌の状態です。
判断の分かれ目は、照射してよいか、どう設定するかを医師が判断できるだけの情報を、カウンセリングで渡せるかどうかです。この記事では、伝えるべき情報、記録の探し方、施術履歴シートの作り方、カウンセリングでの伝え方を、医療脱毛機の添付文書や厚生労働省の資料をもとに整理します。
この記事のまとめ
- 脱毛前に伝えたいのは①施術歴 ②服用中の薬 ③肌の状態・体質の3つ
- 医療脱毛機の添付文書では、刺青・アートメイクの部位は照射しない部位、光線過敏を起こす薬・抗凝固薬・6か月以内のイソトレチノイン・フィラー注入部位などは注意が必要な対象とされている(機種の一例)
- どのくらい間隔を空ければよいかに公的な統一基準はない。添付文書には「施術前4週間は日焼けを避ける」などの目安がある
- 医療機関のカルテは5年間の保存義務があり、本人は開示を求められる。エステの記録はこの対象外
※医療脱毛機の添付文書(PMDA)、厚生労働省の通知・指針、医師法によるもの。詳細は本文で。
この記事の書き方について
当サイトでは、利用者の体験談や口コミを掲載していません。医療に関する広告では、患者の主観や伝聞にもとづく体験談などが医療法で禁止されており、厚生労働省は2025年8月15日付の通知「美容医療に関する取扱いについて」(医政発0815第21号)でこれを改めて示しています。(厚生労働省の通知本文)
医療についての記載は、医薬品医療機器総合機構(PMDA)が公開する医療脱毛機の添付文書、厚生労働省の通知と指針、医師法、国民生活センターの公表資料によるものです(2026年10月21日閲覧)。添付文書の記載は機種によって異なるため、ここでは一例として紹介します。照射できるかどうかの最終的な判断は医師が行います。この記事は一般的な情報で、診断や治療の判断は医師の診察で行われます。記事の作り方はコンテンツ制作方針に記載しています。
脱毛前に伝えるべき3つの情報(施術歴・服薬・肌の状態)
脱毛のカウンセリングで伝えたい情報は、大きく3つに分けられます。この3つがそろうと、医師は照射してよいかと、どう設定するかを判断しやすくなります。
- 施術歴:シミ・ニキビ跡のレーザーや光治療、ピーリング、ダーマペン、注入、ほかの部位・ほかの院での脱毛など
- 服用中の薬:飲み薬・塗り薬・サプリメント。ニキビ治療の飲み薬や、血液をサラサラにする薬などは特に伝える
- 肌の状態・体質:日焼け、刺青・アートメイク、ほくろ、ヘルペス、ケロイド体質、持病、妊娠・授乳中かどうか
なぜ施術歴が安全性に関わるのか
厚生労働省は2001年11月8日付の通知(医政医発第105号)で、用いる機器が医療用かどうかを問わず、レーザー光線などの強い光を毛根部分に照射して毛乳頭や皮脂腺開口部などを破壊する行為は、医師免許を持たない者が業として行えば医師法第17条に違反するとしています(厚生労働省の通知本文)。照射の可否や設定を判断するのは医師で、その判断には、肌がこれまでに何を受けてきたかの情報が欠かせません。
国民生活センターが2017年に公表した資料では、2012年度以降の約5年間に、脱毛施術で危害を受けたという相談が964件(エステ680件、医療機関284件)寄せられていました。同センターのアンケートでは、脱毛で症状が出た人の7割以上が、事前にリスクの説明を受けていなかったと回答しています(国民生活センター「なくならない脱毛施術による危害」)。説明を求めるときの前提になるのが、自分の施術歴を正確に伝えることです。
注意が必要な施術歴の例
次のような施術を受けたことがある場合は、施術した部位・時期・使った機器(わかれば)を伝えましょう。照射してよいか、どのくらい間隔を空けるかは、治療の内容と肌の回復具合を見て医師が判断します。
- シミ・肝斑のレーザーや光(IPL)治療:同じ部位に脱毛の照射をする場合は、治療した時期と肌の反応を伝える
- ニキビ・ニキビ跡の治療:光治療、フラクショナルレーザー、飲み薬(イソトレチノイン)など、治療の種類を分けて伝える
- ほくろ除去・刺青除去のレーザー:治療した部位と、その後の経過を伝える
- ケミカルピーリング・ダーマペン:最後に受けた時期と、その後の赤みや乾燥を伝える
- ヒアルロン酸などの注入:注入した部位・製剤・時期を伝える
施術歴とあわせて伝えたい「薬・体質・肌の状態」
医薬品医療機器総合機構(PMDA)が公開している医療脱毛機の添付文書(Excel HRシステムの例)では、次のように記載されています(医療脱毛機の添付文書)。
| 区分 | 添付文書の主な記載(一般向けに言い換え) |
|---|---|
| 照射しない(禁忌) | 刺青やアートメイクを入れた皮膚、光線過敏症がある人、単純ヘルペスの活動性の病変がある部位、傷口や感染がある皮膚、皮膚の悪性腫瘍がある部位、形成異常母斑・色素性病変の疑いがある部位 |
| 慎重に照射する(使用注意) | 日焼けによる皮膚炎(色調が戻るまで避ける)、光線過敏を起こす薬(テトラサイクリン系の抗菌薬など)の服用、抗凝固薬の服用、過去6か月以内のイソトレチノインの服用、金製剤による治療(金療法)、フィラー(注入剤)の注入部位、金属インプラント、ケロイド・肥厚性瘢痕、糖尿病、白斑、ほくろのある部位 など |
| 施術の前後 | 施術前4週間は日光浴や人工日焼けを避ける。施術前1〜2週間は除毛剤など皮膚を刺激する処置を避ける。妊婦には使用しない |
PMDA「Excel HRシステム 添付文書」(2020年11月18日 第2版)によります。機種によって記載は異なるため、使う機器での扱いはカウンセリングで確認してください。
たとえば「ニキビ治療の飲み薬」「血液をサラサラにする薬」「一部の抗菌薬」「関節リウマチなどの治療で使う金製剤」は、名前を知らないと伝え漏れが起きやすい薬です。お薬手帳や薬の袋を持っていくと確実です。刺青・アートメイクは、レーザーで除去した経歴とは別に、いま入っているものとして伝えましょう。
どのくらい間隔を空ければよいかに、公的な統一基準はない
ほかの施術を受けたあと、どのくらい空ければ脱毛できるかについて、公的な統一基準は見当たりません。添付文書には、イソトレチノインの服用は過去6か月以内、日焼けは施術前4週間、皮膚を刺激する処置は1〜2週間などの目安が書かれています(医療脱毛機の添付文書)。時期にかかわらず、相談する部位に関係する施術はすべて伝え、間隔は医師に判断してもらいましょう。

施術歴を確認する5つの手順

過去に受けた施術を整理するときは、記憶だけに頼らず、手元の記録を使います。次の手順で進めると、あいまいな記憶を確かな情報に変えられます。
STEP1:手元の記録を総ざらいする
- 領収書・診療明細書:施術名や日付が書かれた、いちばん確実な記録です
- 診察券・会員証:クリニック名や連絡先がわかります。通院時に撮ったスマートフォンの写真も手がかりになります
- カレンダー・手帳・予約メール:過去の予約日を確認します
STEP2:通院先を時期の順に並べる
見つかった記録をもとに、通ったクリニックやサロンを時期の順に並べます。正確な年月がわからなければ、転職前・引っ越し前などの出来事を手がかりにすると思い出しやすくなります。大事なのは、受けた順番と、施術と施術の間がどのくらい空いていたかです。
STEP3:施術ごとの詳細を書き出す
| 確認項目 | 記入例 | 確認ポイント |
|---|---|---|
| いつ(時期・回数) | 2022年春ごろ、3回 | できれば年・季節まで。わからなければ「数年前」でもよい |
| どこで(施設名) | 〇〇クリニック | 正式名称が理想。わからなければ最寄り駅など |
| 何を(施術名) | レーザー脱毛、フォトフェイシャル | 領収書に書かれた名称が確実 |
| 方式・機器名 | レーザー(アレキサンドライト) | レーザーか光かだけでも伝える。機器名がわかれば書く |
| 間隔 | 1か月おき | 施術の頻度。肌の回復の目安になる |
| 施術後の経過 | 赤みが2日続いた | 強いかゆみ、水ぶくれ、色素沈着などがあれば必ず書く |
STEP4:わからないことは問い合わせる
記録が見つからないときは、通っていた医療機関に問い合わせる方法があります。医師法では、医療機関の診療録(カルテ)は5年間保存しなければならないと定められています(医師法第24条)。厚生労働省の「診療情報の提供等に関する指針」では、患者は診療記録の開示を求めることができ、申し立てのときに理由を書くよう求めるのは不適切とされています。医療機関は開示にかかる費用を受け取ることができます(厚生労働省の指針)。
エステサロンの施術記録は、医療機関のカルテではないため、この対象ではありません。開示してもらえるかはサロンの対応次第です。
STEP5:一覧にまとめて保管する
集めた情報を、スマートフォンのメモや紙1枚にまとめます。次の章の「施術履歴シート」の形にしておくと、カウンセリングでそのまま見せられます。
施術履歴シートの作り方
口頭だけで伝えると、緊張して大事なことを言い忘れたり、順番が前後したりしがちです。A4用紙1枚、またはスマートフォンのメモ1画面にまとめておくと、医師も短い時間で把握できます。
シートに書く項目
- 今回相談したい部位:顔、ワキ、脚など
- 過去の施術歴(時期の順):時期・施設・施術名・方式(レーザーか光か)・回数。機器名や出力はわかれば
- 施術後の反応:赤み・かゆみ・水ぶくれ・色素沈着などと、どの施術のあとか
- 服用中の薬:飲み薬・塗り薬・サプリメント(お薬手帳の写しでもよい)
- 肌の状態・体質のチェック:□最近の日焼け □刺青・アートメイク □ほくろ □ヘルペスが出やすい □ケロイド体質 □持病 □妊娠・授乳中
わからない項目は「不明」と書き、カウンセリングで確認したいこととしてメモしておきましょう。あいまいな記憶を無理に埋めるより、わからないと伝えるほうが安全です。
記入例
- 「顔のレーザー脱毛を、2021年ごろに〇〇クリニックで5回。機器名は不明、方式はレーザー」
- 「2024年夏、頬のシミにレーザー治療を1回。その後2か月ほど赤みが続いた」
- 「ニキビ治療で、2025年の春まで飲み薬を服用(薬の名前はお薬手帳で確認)」
カウンセリングでの伝え方
シートを見せるタイミングと話し方
シートは、カウンセリングの最初に見せるのが効果的です。「過去の施術と飲んでいる薬をまとめてきました」と一言添えて渡しましょう。複数の施術歴がある場合は、シートは時期の順に作り、説明するときは、今回相談する部位に関係する施術から先に話すと伝わりやすくなります。
厚生労働省の「その美容医療、ちょっと待って!」は、施術内容に関する疑問やリスクへの不安を施術前に医師へ伝え、説明を受けるよう呼びかけています。医師のカウンセリングが数分で、説明や術式の選択をカウンセラーと患者で決めるような、十分に納得できないカウンセリングには注意が必要としています(厚生労働省「その美容医療、ちょっと待って!」)。
医師に聞いておきたいこと
- 過去の施術や服用中の薬は、今回の照射に影響しますか
- 前の施術からどのくらい空ければよいですか
- 今回使う機器は、前に使った機器と何が違いますか
- 私の肌で想定されるリスクや副作用は何ですか
- 照射後に気になる症状が出たら、どこに連絡すればよいですか
医療脱毛の費用の見方と、コース契約の解約ルールは医療脱毛の費用の記事に、クリニックごとの料金と条件の検証はリゼクリニック・レジーナクリニックの全身脱毛料金の記事にまとめています。
ケース別:施術歴がある場合に伝えたいこと
| 施術歴 | 医師に伝えたいこと |
|---|---|
| シミ・ニキビ跡のレーザーや光治療 | 治療した部位、使った機器(わかれば)、最後の治療の時期、そのときの肌の反応 |
| ピーリング・ダーマペン | 最後に受けた時期と、その後の赤み・乾燥の有無 |
| ヒアルロン酸などの注入 | 注入した部位・製剤・時期(添付文書では、フィラー注入部位はレーザー治療を受けてよいか医師に相談するとされている) |
| ほかの部位・ほかの院での脱毛 | 使った方式(レーザーか光か)、照射後の反応、やめた理由 |
| ニキビ治療の飲み薬(イソトレチノイン) | 服用していた時期(添付文書では過去6か月以内の服用は使用注意とされている) |
| 刺青・アートメイク | 入っている部位(添付文書では照射しない部位とされている) |
添付文書の記載はPMDA「Excel HRシステム 添付文書」によります(機種によって異なります)。
施術後の肌の反応は、施術歴の中でも特に役立つ情報です。強い赤みや色素沈着が出たことがあれば、どの施術のあとだったかとあわせて伝えましょう。
医療脱毛の主なリスク・副作用

医療脱毛の主なリスクには、照射後の赤み・ほてり、毛嚢炎、硬毛化、やけど、色素沈着があります。添付文書でも、日焼けによる皮膚炎がある状態での照射は熱傷・水疱・色素沈着などをきたすおそれがあるとして、皮膚の色調が戻るまで避けるよう記載されています(医療脱毛機の添付文書)。
照射後に強い痛みや水ぶくれ、膿が出るなどの症状があれば、自己判断せず施術を受けた医療機関を受診してください。
脱毛前の施術歴についてよくある質問
- 脱毛前に伝える必要がある薬は?
-
医療脱毛機の添付文書(一例)では、光線過敏を起こす薬(テトラサイクリン系の抗菌薬など)、抗凝固薬、過去6か月以内のイソトレチノイン、金製剤などが注意の対象とされています。名前がわからなくても、お薬手帳や薬の袋を持っていき、飲み薬・塗り薬・サプリメントをすべて伝えましょう。
- 刺青やアートメイクがあっても脱毛できますか?
-
添付文書(一例)では、刺青やアートメイクを入れた皮膚は、色素がレーザーを吸収してやけどになるおそれがあるため、照射しない部位とされています。ほかの部位に照射できるかは、医師に相談しましょう。
- シミ取りレーザーのあと、どのくらい空ければ脱毛できますか?
-
公的な統一基準は見当たりません。治療の内容や肌の回復具合によって変わるため、治療した時期と部位を伝え、医師に判断してもらいましょう。
- 前に通っていたクリニックの記録は取り寄せられますか?
-
医療機関のカルテは医師法で5年間の保存が義務づけられています。厚生労働省の指針では、患者は診療記録の開示を求めることができ、医療機関は開示にかかる費用を受け取ることができるとされています。エステの記録は対象外です。
- 複数の施術歴がある場合、どれから伝えればよいですか?
-
シートは時期の順に作り、説明するときは、今回相談する部位に関係する施術から先に伝えると話が早くなります。時期にかかわらず、相談部位に関係する施術はすべて伝えましょう。
- エステで受けた脱毛も伝えるべきですか?
-
伝えましょう。照射の方式(光かどうか)、回数、照射後の反応は、医師が肌の反応を予測する手がかりになります。
まとめ:施術歴・薬・肌の状態をそろえて、医師に判断してもらう
脱毛前の準備で大事なのは、これまでの施術歴、服用中の薬、肌の状態を、医師が判断できる形で渡すことです。
- 施術歴は、領収書や予約メールをもとに時期の順に書き出す
- 薬はお薬手帳ごと持っていく。ニキビの飲み薬や血液をサラサラにする薬は特に伝える
- 刺青・アートメイク、最近の日焼けは必ず伝える
- 間隔に公的な基準はない。時期を伝え、医師に判断してもらう
リゼクリニック
全国29院(提携院を含む)、3種類の脱毛機を導入。初診料・予約変更料・キャンセル料は0円。
※2026年10月15日時点の公式サイト表示。自由診療(保険適用外)。主なリスク・副作用:赤み・ほてり、毛嚢炎、硬毛化、やけど、色素沈着など。
出典
- 医薬品医療機器総合機構(PMDA)「Excel HRシステム 添付文書」承認番号30100BZX00097000(2020年11月18日 第2版) https://www.info.pmda.go.jp/downfiles/md/PDF/100928/100928_30100BZX00097000_A_02_02.pdf
- 厚生労働省「医師免許を有しない者による脱毛行為等の取扱いについて」平成13年11月8日 医政医発第105号 https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=00ta6731&dataType=1&pageNo=1
- 独立行政法人国民生活センター「なくならない脱毛施術による危害」2017年5月11日 https://www.kokusen.go.jp/news/data/n-20170511_1.html
- 医師法(昭和23年法律第201号)第24条 https://laws.e-gov.go.jp/law/323AC0000000201
- 厚生労働省「診療情報の提供等に関する指針」 https://www.mhlw.go.jp/shingi/2004/06/s0623-15m.html
- 厚生労働省「その美容医療、ちょっと待って!」 https://aesthetic-medicine-caution.mhlw.go.jp/
- 厚生労働省「美容医療に関する取扱いについて」令和7年8月15日 医政発0815第21号 https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=00tc9325
