FAGA(女性型脱毛症)の治療中でも、分け目や生え際が気になる日はあります。髪型やカバーグッズで目立たなくすることはできますが、やり方によっては頭皮や髪に負担をかけてしまいます。
判断の分かれ目は、髪を強く引っ張らないこと、塗り薬を使っているなら使う順番を守ることです。この記事では、頭皮に負担をかけない洗い方と乾かし方、薄毛を目立たせにくい髪型、カバーグッズとウィッグの使い方、避けたい習慣を、日本皮膚科学会の資料と外用薬の添付文書をもとに整理します。
この記事のまとめ
- ポニーテールやお団子など髪を強く引っ張る髪型を続けると「牽引性脱毛症」が起こることがある
- 分け目をずらす・根元をふんわりさせる・サイドの髪で顔周りを包む、が負担の少ない工夫
- ミノキシジル外用薬を使う日は、整髪料やヘアスプレーは薬のあと、ウィッグは薬が十分に乾いてから
- スタイリングは治療の代わりにならない。かつら(ウィッグ)は治療に影響しないとされる
※日本皮膚科学会の皮膚科Q&A、女性用ミノキシジル外用薬の添付文書によるもの。詳細は本文で。
この記事の書き方について
当サイトでは、利用者の体験談や口コミを掲載していません。医療に関する広告では、患者の主観や伝聞にもとづく体験談などが医療法で禁止されており、厚生労働省は2025年8月15日付の通知「美容医療に関する取扱いについて」(医政発0815第21号)でこれを改めて示しています。(厚生労働省の通知本文)
医療についての記載は、日本皮膚科学会の「皮膚科Q&A」、医薬品医療機器総合機構(PMDA)が公開する一般用医薬品の添付文書、厚生労働省の通知(2026年10月27日時点)によるものです。髪型やカバーグッズの使い方は一般的な方法の紹介で、薄毛の治療効果をうたうものではありません。この記事は一般的な情報で、診断や治療の判断は医師の診察で行われます。記事の作り方はコンテンツ制作方針に記載しています。
スタイリングの前に守りたい3つの基本
髪型を工夫する前に、毎日の洗い方・乾かし方と、塗り薬との順番を整えておきましょう。ここが崩れると、どんな髪型でも頭皮に負担がかかります。
洗い方と乾かし方
日本皮膚科学会は、抜け毛を防ぐ特別な予防法はないとしたうえで、自分に合ったシャンプーやコンディショナーを使い、頭皮が乾燥しすぎたり脂っぽくなったりしない頻度で洗うことを勧めています(皮膚科Q&A「脱毛症」Q18)。特定の成分でなければいけない、という決まりはありません。
洗うときは爪を立てずに指の腹で洗い、すすぎ残しがないよう流します。タオルはこすらず押し当てて水分を取り、ドライヤーは頭皮から少し離して、同じ場所に熱が集中しないよう動かしながら根元まで乾かします。
ブラッシングは乾いてから、引っ張らずに
濡れた髪は絡まりやすいため、強くとかすのは乾かしたあとにします。目の粗いコームやブラシで毛先からほぐし、少しずつ根元へ進めましょう。絡まりがひどいときは、指でほぐしてからとかします。
外用薬を使っている日は、使う順番を守る
女性用のミノキシジル外用薬(市販薬)の添付文書には、整髪料やヘアセットスプレーは、薬を使用した後に使うこと、ヘアカラーや白髪染めは染毛を完全に終えた後に薬を使うこと、つけ毛やヘアピースは薬を十分に乾燥させた後に装着することが記載されています(PMDA 一般用医薬品 添付文書)。
クリニックで処方された外用薬を使っている場合は、洗髪や塗るタイミング、整髪料との順番を主治医に確認してください。
スタイリング剤は頭皮につけない
ワックスやクリームは手のひらでよく伸ばし、毛先や髪の中間を中心につけます。スプレーやミストは頭皮から離して使い、直接吹きかけないようにします。夜はシャンプーで洗い流しましょう。化粧品の使用上の注意では、赤み、はれ、かゆみ、刺激などがあらわれたら使用を中止することとされています(厚生労働省 薬食発0530第2号)。症状が続くときは皮膚科で相談してください。
薄毛を目立たせにくい髪型の工夫

髪型の工夫は、髪を引っ張らずにできるものから選びます。日本皮膚科学会は、ポニーテール、編み込み、三つ編み、お団子など、髪を強く引っ張る髪型を習慣的に続けると「牽引性脱毛症」が起こることがあり、特に前髪を後ろに引っ張る髪型を長く続けると生え際が抜けやすいと説明しています(皮膚科Q&A「脱毛症」Q16)。
分け目をずらす
いちばん手軽なのは、分け目の位置を変えることです。地肌が見えていた部分を、周りの髪で自然に隠せます。
- 髪を軽くとかしながら、自然に流れる位置を探す
- 鏡を見ながら左右に1cmほど動かし、気になる部分が隠れる位置で決める。ジグザグに分けると地肌が目立ちにくい
- 数日ごとに分け目の位置を変え、同じ場所ばかりに分け目を作らない
逆毛を強く立てたり、強いスプレーで固めたりせず、軽く整える程度にとどめましょう。
根元をふんわりさせる(ルートアップ)
前髪や生え際のボリュームが気になるときは、髪の根元を軽く起こして立体感を出します。ブラシは使わず、指で行うのがポイントです。
- 髪が半乾きのうちに、指で根元を起こしながらドライヤーの冷風で乾かす
- 乾いたあとに、軽いミストタイプのスタイリング剤を頭皮から離してひと吹きする
- 熱したコームやアイロンで根元を高く立てない
| 避けたいやり方 | 負担の少ないやり方 |
|---|---|
| 強いスプレーで根元を固める | 軽いミストを頭皮から離して使う |
| 熱したコームやアイロンで根元を立てる | 指で根元を起こし、冷風で乾かす |
| 大きなヘアピンできつく留める | 小さめのピンを根元と平行にゆるく留める |
サイドの髪で顔周りを包む
こめかみから耳の前の髪を、耳にかけずに顔の輪郭に沿って前に流すと、生え際や側頭部が目立ちにくくなります。顎のあたりまで長さがあれば、毛先に軽いカールをつけるとふんわり見えます。
まとめ髪にするときは低く、ゆるく
仕事などでどうしても髪を結ぶ日は、後頭部の低い位置で、ゴムの跡がすぐ消える程度にゆるくまとめます。毎日同じ位置で結ばないこと、前髪や生え際の髪を後ろに強く引っ張らないことも大切です。学会は、エクステンションやヘアアイロンも、引っ張る力の強さによっては牽引性脱毛症の原因になりうるとしています(同Q16)。
外出や特別な日のアレンジ
ふだんの外出には、髪を下ろして毛先だけに内巻きのカールをつけるスタイルが向いています。頭皮はドライヤーで乾かしてから、毛先だけをカーラーや低めの温度のアイロンで整えましょう。
特別な日は、軽いヘアクリップやヘアバンドで視線を集める方法もあります。額に沿ってヘアバンドをつけると、生え際を自然に隠せます。重いアクセサリーや、髪を強く引っかけて留めるものは避けましょう。
カバーグッズとウィッグの使い方

人前に出る日だけ、気になる部分を一時的に隠したいときは、カバーグッズが使えます。どれも少量から、目立つ部分にだけ使うと自然に仕上がります。
| 種類 | 向いている部分 | 使い方のポイント |
|---|---|---|
| ファイバー(細かい繊維) | 分け目や頭頂部の小さなすき間 | 10〜15cmほど離して少量をふりかけ、指の腹で軽くなじませる |
| スプレー | 広がった分け目のライン | 20cm以上離して1〜2回ずつ吹きかけ、乾いてから必要なら重ねる |
| パウダー・コンシーラー | 地肌の色を目立たなくしたい部分 | 自分の頭皮の色に近いものを選び、スポンジやブラシでごく薄くのせてぼかす |
どのグッズも汗や雨で落ちやすいため、長時間の外出では様子を見ながら使いましょう。
ウィッグ(かつら)という選択肢
部分ウィッグやフルウィッグを使う方法もあります。日本皮膚科学会は、かつらによる脱毛症の治療への影響はないとしていて、かつらを使うことで社会生活に前向きになれる場合もあると説明しています(皮膚科Q&A「脱毛症」Q14)。使うかどうかは、自分の状況に合わせて選んでかまいません。
カバーグッズを使うときの注意
- 外用薬を使っている日は、薬を塗ってからカバーグッズや整髪料を使う。ヘアピースやウィッグは薬が十分に乾いてから着ける
- 夜はシャンプーで洗い流し、頭皮に残したまま寝ない
- 頭皮に赤み、はれ、かゆみ、刺激などが出たら使用をやめ、続くときは皮膚科で相談する
避けたいスタイリングの習慣
きつく結ぶ・同じ位置で引っ張り続ける
牽引性脱毛症は、初期の段階なら原因になっている髪型をやめることで元に戻ります。しかし長く続くと、髪をつくる土台まで傷つき、永久に髪が生えてこなくなることがあります。学会は、早めに気づいて皮膚科に相談し、髪型やヘアケアの習慣を変えることが大切だとしています(皮膚科Q&A「脱毛症」Q16)。
高温のアイロンやドライヤーを頭皮に近づける
アイロンやドライヤーの熱を頭皮の近くで当て続けると、やけどや乾燥の原因になります。ドライヤーは離して動かしながら使い、アイロンは毛先を中心に使いましょう。
頻繁なカラーリングと強いブラッシング
学会は、髪に負担のかかる髪型や、極端に頻回のカラーリングはなるべく避けるよう勧めています(同Q18)。絡まった髪を力任せにとかすのも、切れ毛の原因になるので避けましょう。
スタイリングは治療の代わりにならない

ここまでの内容は、見せ方と頭皮の守り方です。薄毛そのものへの対処は治療の領域になります。日本皮膚科学会は、女性型脱毛症に最も勧められる薬剤はミノキシジルの外用剤で、次に勧められる治療として低出力の光やレーザーの照射があるとしています。いずれも保険診療外です(皮膚科Q&A「脱毛症」Q9)。
男性型脱毛症に使われるフィナステリドとデュタステリドは、女性では有効性が確立されておらず、妊娠の際の副作用の問題もあるため、女性型脱毛症には行うべきではないとされています(同Q9)。家族や知人が使っている薬を、自己判断で使わないでください。
また、抜け毛の原因は女性型脱毛症だけではありません。学会は、体に過度の負担がかかって起こる休止期脱毛や、ほかの病気に関連する脱毛もあるとして、抜け毛が生じたら皮膚科など専門の医療機関を受診するよう勧めています(同Q18)。
FAGAの特徴と治療の推奨度はFAGA(女性の薄毛)とはの記事、クリニックを選ぶときに確かめたい点はFAGAのクリニック選びの記事で整理しています。シャンプーやドライヤーと外用薬のタイミングは薄毛治療中のヘアケアの記事も参考にしてください。
外用薬とヘアケア用品の主なリスク・副作用
女性用のミノキシジル外用薬(市販薬)の添付文書では、副作用として頭皮の発疹・発赤、かゆみ、かぶれ、ふけ、使用部位の熱感などが挙げられています(PMDA 一般用医薬品 添付文書)。発疹や発赤は頭皮以外にあらわれることもあるとされています。
スタイリング剤やカバーグッズなどの化粧品も、使用中に赤み、はれ、かゆみ、刺激などがあらわれたら使用を中止することとされています(厚生労働省 薬食発0530第2号)。薬と化粧品のどちらが原因かは自分では判断しにくいため、症状が出たら自己判断で続けず、処方を受けている医療機関や皮膚科で相談してください。
FAGA治療中の髪型についてよくある質問
- 髪型に気をつけるのはいつまでですか?
-
「いつまで」を一律には決められません。髪の生え変わりには時間がかかり、治療の効果が見えるまでの期間にも個人差があるためです。ただ、日本皮膚科学会は髪に負担のかかる髪型や極端に頻回のカラーリングはなるべく避けるよう勧めていて、治療中に限らず続けてよい習慣です。
- 髪を結ぶなら、どうすればいいですか?
-
後頭部の低い位置で、ゴムの跡がすぐ消える程度にゆるく結びます。毎日同じ位置で結ばないこと、前髪や生え際を後ろに強く引っ張らないことも大切です。髪を強く引っ張る髪型を続けると、牽引性脱毛症が起こることがあります。
- ミノキシジルを塗ったあと、スタイリング剤は使えますか?
-
女性用のミノキシジル外用薬(市販薬)の添付文書では、整髪料やヘアセットスプレーは薬を使用した後に使うとされています。処方薬を使っている場合は、順番やタイミングを主治医に確認してください。
- ヘアカラーやパーマはしてもいいですか?
-
日本皮膚科学会は、極端に頻回のカラーリングはなるべく避けるよう勧めています。市販のミノキシジル外用薬の添付文書では、染毛を完全に終えた後に薬を使うとされています。パーマを含め、治療中の施術は主治医に相談してから決めましょう。
- ウィッグは治療に影響しますか?
-
日本皮膚科学会は、かつらによる脱毛症の治療への影響はないとしています。外用薬を使っている場合、ヘアピースは薬を十分に乾燥させてから着けます。
- 薄毛を目立たせにくい髪型はありますか?
-
分け目を数日ごとにずらす、根元を指で起こしてふんわりさせる、サイドの髪を顔の輪郭に沿って流す、といった工夫は髪を引っ張らずにできます。髪を強く引っ張るまとめ髪は避けましょう。
まとめ:引っ張らない髪型と、薬との順番を守る
FAGA治療中の髪型は、見せ方より先に「髪を引っ張らない」「頭皮に負担をかけない」ことを優先します。
- ポニーテールやお団子など、髪を強く引っ張る髪型を続けない
- 分け目をずらす・根元をふんわりさせる・サイドの髪で包む、の3つが手軽
- 外用薬を使う日は、整髪料は薬のあと、ウィッグは薬が乾いてから
- 頭皮に赤みやかゆみが出たら使用をやめて相談する。抜け毛が増えたら皮膚科へ
出典
- 公益社団法人日本皮膚科学会 皮膚科Q&A「脱毛症」(2026年10月27日閲覧):Q9/Q14/Q16/Q18
- 医薬品医療機器総合機構(PMDA)一般用医薬品 添付文書「リアップリジェンヌ」(2026年10月27日閲覧) https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/otcDetail/400059_J1101000290_08_01
- 厚生労働省「化粧品等の使用上の注意について」平成26年5月30日 薬食発0530第2号 https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11120000-Iyakushokuhinkyoku/140530.pdf
