暑い日に帽子をかぶると、脱いだときに髪がぺたんとつぶれていたり、頭が蒸れていたりして、「帽子のせいで薄くなるのでは」と心配になる人は少なくありません。
判断の分かれ目は、帽子をかぶっているかどうかではなく、抜け毛や薄毛そのものが進んでいるかどうかです。この記事では、帽子と薄毛の関係、夏に帽子をかぶる理由、抜け毛が気になったときの受診の目安を、日本皮膚科学会と環境省の資料をもとに整理します。
この記事のまとめ
- 男性型脱毛症(AGA)の薄毛は、男性ホルモンの作用で毛が細く短くなることで起こると説明されている。帽子は原因として挙げられていない
- 帽子や日傘は、直射日光を避けて体温の上昇を抑える暑さ対策として、環境省が活用を勧めている
- 髪を強く引っ張る髪型を続けると、抜け毛の原因になることがある(牽引性脱毛症)
- 抜け毛が気になったら、帽子をやめるよりも皮膚科などで原因を確かめるのが先。AGAの治療は保険診療の対象外のものが多い
※日本皮膚科学会の「皮膚科Q&A」と診療ガイドライン、環境省の熱中症環境保健マニュアルによるもの。詳細は本文で。
この記事の書き方について
当サイトでは、利用者の体験談や口コミを掲載していません。医療に関する広告では、患者の主観や伝聞にもとづく体験談などが医療法で禁止されており、厚生労働省は2025年8月15日付の通知「美容医療に関する取扱いについて」(医政発0815第21号)でこれを改めて示しています。(厚生労働省の通知本文)
医療についての記載は、日本皮膚科学会の「皮膚科Q&A」と「男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン2017年版」、暑さ対策の記載は環境省「熱中症環境保健マニュアル 総論(2025年7月版)」によるものです(2026年10月19日閲覧)。この記事は一般的な情報で、診断や治療の判断は医師の診察で行われます。記事の作り方はコンテンツ制作方針に記載しています。
夏の帽子で、男性が気にしていること
男性専門の美容クリニックであるゴリラクリニックは2026年7月、20〜59歳の男性400名を対象にしたインターネット調査(7月8日実施)の結果を発表しました。夏に帽子をかぶると答えた人は58.0%で、帽子をかぶるときにストレスを感じている人は6割以上(63.7%)でした。
ストレスの理由で最も多かったのは「髪のボリューム低下」(62.0%)、次いで「頭皮や汗のニオイ」(42.8%)です(ゴリラクリニックのプレスリリース)。脱いだあとの髪型の崩れや、蒸れたにおいを気にしている人が多いことがうかがえます。なお、この調査はクリニック自身によるもので、各割合の母数(全員か、帽子をかぶる人か)は発表資料に明記されていません。
では、帽子をかぶることは、実際に薄毛の原因になるのでしょうか。次の章で、皮膚科学会の説明をもとに見ていきます。
帽子をかぶると薄毛になる?

AGAの薄毛は、男性ホルモンの作用で起こる
日本皮膚科学会は、男性型脱毛症(AGA)について、ふつう数年続く毛の成長期が極端に短くなり、毛が十分に成長できずに短く細い毛に変化する(ミニチュア化)ことで薄毛になると説明しています。このミニチュア化は、男性ホルモン(アンドロゲン)の作用で起こるとされています(日本皮膚科学会「皮膚科Q&A」)。
同学会のQ&Aと男性型脱毛症の診療ガイドラインで示されているAGAの仕組みと治療の中に、帽子をかぶることは原因として挙げられていません。帽子を脱いだときに髪がぺたんとつぶれて見えるのは、髪型の崩れで、毛が抜けたこととは別の話です。
髪を強く引っ張る習慣は、抜け毛の原因になる
一方で、髪型が抜け毛の原因になることはあります。日本皮膚科学会は、髪が強く引っ張られる髪型を習慣的に続けると髪が抜けることがあり、これを牽引性脱毛症と呼ぶと説明しています。ポニーテールや編み込み、お団子など一定の髪型を続けることで起こりやすく、エクステンションやヘアアイロンなども、強さによっては原因になることがあります(日本皮膚科学会「皮膚科Q&A」)。
牽引性脱毛症は、初期の段階なら原因の髪型をやめることで元に戻りますが、長く続いて毛包まで傷むと、髪が生えてこなくなることがあるとされています。同学会は、早めに原因に気づき、皮膚科に相談して髪型やヘアケアの習慣を見直すよう勧めています(日本皮膚科学会「皮膚科Q&A」)。
隠すこと自体は、治療のじゃまにならない
薄毛を隠す方法として、診療ガイドラインは「かつら」を取り上げています。かつらの着用は推奨度C1(行ってもよい)で、脱毛の症状を改善するものではないものの、通常の治療で改善しない場合や、生活の質(QOL)が下がっている場合に行ってもよいとされています。かつらの着用による副作用は、特に報告されていません(診療ガイドライン)。
日本皮膚科学会のQ&Aでも、かつらによる治療への影響はなく、使うことで社会生活に前向きになれるなど良い影響もあると説明されています(日本皮膚科学会「皮膚科Q&A」)。帽子についての記載ではありませんが、見た目をカバーすることと、治療を受けることは両立できると考えてよいでしょう。
夏に帽子をかぶるのは、暑さと紫外線の対策になる
帽子は、体温の上昇を抑える暑さ対策
環境省は、帽子や日傘は直射日光を避けられることで、体温の上昇を抑える効果が期待できるとして、積極的な活用を勧めています。服装については、体に密着しないゆったりしたもの、吸汗・速乾素材、白などの明るい色のものが、熱中症になりにくい服装の例として挙げられています(環境省「熱中症環境保健マニュアル 総論」)。
薄毛が気になるからといって、暑い日に帽子をやめる必要はありません。体を守るための帽子と、髪の悩みは分けて考えましょう。
つばの広い帽子は、紫外線から皮膚を守る
日本皮膚科学会は、紫外線から皮膚を守るポイントとして、日傘、広いつばが全周にある帽子、長袖・長ズボンなどで皮膚に届く紫外線をできるだけ減らすことを第一に挙げ、そのうえで日焼け止めを使うよう勧めています(日本皮膚科学会「皮膚科Q&A(日焼け)」)。
帽子をかぶる日の、頭皮と髪のケア

日本皮膚科学会は、これをすれば髪が抜けなくなるという特別な予防法があるわけではないとしたうえで、抜け毛の原因をつくらないための習慣を挙げています(日本皮膚科学会「皮膚科Q&A」)。
- 髪に負担のかかる髪型や、極端に回数の多いカラーリングは、なるべく避ける
- 自分に合ったシャンプーやコンディショナーを使い、頭皮が乾燥しすぎたり油っぽくなったりしない頻度で洗う
- ビタミンやミネラルを含むバランスのとれた食事をとる
- 無理をせず、適度に休み、規則正しい生活を送る
日本皮膚科学会「皮膚科Q&A(脱毛症)Q18」によります。
帽子を選ぶときは、環境省が服装について挙げている「風通しがよい」「汗を逃がしやすい」といった点を参考にすると快適です。ただし、帽子の選び方や洗髪の工夫は快適さのためのもので、AGAの進行を止めるものではありません。
抜け毛が気になったら、帽子より先に原因を確かめる
早めに気づくために、普段の状態を知っておく
日本皮膚科学会は、抜け毛の原因はさまざまで、治療法も原因によって異なるとしています。抜け毛が生じたら皮膚科など専門の医療機関を受診して対策を知ることが大切で、変化に早めに気づけるよう、普段から抜け毛の量や頭皮の状態を把握しておくことも勧めています(日本皮膚科学会「皮膚科Q&A」)。
AGAの主な治療と、診療ガイドラインの推奨度
AGAの主な治療法は、外用療法、内服療法、自家植毛術の3つです。日本皮膚科学会は、AGAは「病気」ではなく「加齢変化の一種」と解釈されているため、有効な治療法の多くは保険診療で受けられないと説明しています(日本皮膚科学会「皮膚科Q&A」)。診療ガイドラインでの推奨度は、次のとおりです。
| 治療 | 推奨度 | 内容 |
|---|---|---|
| フィナステリドの内服 | A | 行うよう強く勧める |
| デュタステリドの内服 | A | 行うよう強く勧める |
| ミノキシジルの外用 | A | 行うよう強く勧める |
| 自毛植毛術 | B | 行うよう勧める |
| LED・低出力レーザー照射 | B | 行うよう勧める |
| かつらの着用 | C1 | 行ってもよい(症状を改善するものではない) |
| 成長因子導入・細胞移植療法 | C2 | 行わないほうがよい |
| ミノキシジルの内服 | D | 行うべきではない |
男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン2017年版(日本皮膚科学会)の男性型脱毛症に対する推奨度によります(2026年10月19日時点で確認)。
AGA治療薬の主なリスク・副作用
- フィナステリド:重要な副作用として、頻度は明らかではないものの、まれに肝機能障害があらわれることがある
- デュタステリド:リビドー減少、インポテンツ、射精障害などの報告がある。性機能障害を含めた副作用について十分な説明と同意が必要とされている
- ミノキシジル外用:かゆみ、赤み、フケのような皮むけ、毛包炎、かぶれ(接触皮膚炎)、顔の多毛などの報告がある
- 内服薬とPSA検査:フィナステリドやデュタステリドを飲むと、前立腺がんの検査で使うPSAの値が約半分に下がるため、健康診断などで見逃されないよう注意が必要とされている
診療ガイドライン・皮膚科Q&A Q7によります。治療を受けるかどうかは、医師の診察で副作用の説明を受けたうえで判断しましょう。
湘南AGAクリニック
全国130院。転居しても同じ治療を継続。初診からオンライン診療も可能。
※2026年10月15日時点の公式サイト表示。自由診療(保険適用外)。主な副作用:内服薬は性機能の低下・肝機能障害など、外用薬はかゆみ・かぶれなど。
帽子と薄毛についてよくある質問
- 帽子をかぶると、AGAが進みますか?
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日本皮膚科学会は、AGAの薄毛は男性ホルモンの作用で毛が細く短くなることで起こると説明しており、帽子は原因として挙げられていません。帽子を脱いだときに髪がつぶれて見えるのは、髪型の崩れによるものです。
- 薄毛が気になるので、夏も帽子をやめたほうがよいですか?
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環境省は、帽子や日傘は直射日光を避けて体温の上昇を抑える効果が期待できるとして、積極的な活用を勧めています。暑い日の帽子は体を守るためのものとして使い、抜け毛が気になる場合は別に皮膚科などで相談しましょう。
- 帽子やウィッグで隠しながら治療してもよいですか?
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日本皮膚科学会は、かつらによる治療への影響はないと説明しています。診療ガイドラインでも、かつらの着用は症状を改善するものではないものの、生活の質が下がっている場合などに行ってもよいとされています。
- AGAの治療に保険は使えますか?
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日本皮膚科学会は、AGAは「病気」ではなく「加齢変化の一種」と解釈されているため、有効な治療法の多くは保険診療で受けることができないと説明しています。費用は医療機関ごとに異なるため、受診前に確認しましょう。
まとめ:帽子は暑さ対策として使い、抜け毛は別に相談する

夏の帽子は、髪型が崩れたり蒸れたりして気になるものですが、AGAの原因として挙げられているものではありません。暑さと紫外線から体を守るために使い、髪の悩みは別に考えましょう。
- AGAの薄毛は男性ホルモンの作用で起こり、帽子は原因として挙げられていない
- 髪を強く引っ張る髪型を続けると、牽引性脱毛症の原因になることがある
- 帽子や日傘は、環境省が勧める暑さ対策。薄毛が気になってもやめる必要はない
- 抜け毛が気になったら、皮膚科などで原因を確かめる。治療の多くは保険診療の対象外
出典
- 日本皮膚科学会「皮膚科Q&A 脱毛症」(2026年10月19日閲覧):Q6/Q7/Q14/Q16/Q18
- 日本皮膚科学会「皮膚科Q&A 日焼け」Q10 光線防御のポイントは?(2026年10月19日閲覧) https://qa.dermatol.or.jp/qa2/q10.html
- 日本皮膚科学会「男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン2017年版」日皮会誌 127(13), 2763-2777, 2017 https://www.dermatol.or.jp/uploads/uploads/files/AGA_GL2017.pdf
- 環境省「熱中症環境保健マニュアル 総論」2025年7月版 https://www.wbgt.env.go.jp/pdf/manual/heatillness_manual_ov_full_high.pdf
- ゴリラクリニック(医療法人社団十二会)プレスリリース「夏場の頭髪事情」調査 2026年7月28日(2026年10月19日閲覧) https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000166.000004342.html
- 厚生労働省「美容医療に関する取扱いについて」令和7年8月15日 医政発0815第21号 https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=00tc9325
